mionote’s blog

猫と音楽とミステリー、映画が好きです?

映画『怒り』

観に行ってきました。だいぶ前から劇場で予告を目にしていて、使われている音楽もあいまって気になって仕方なかった作品です。凄惨な場面で流れるアヴェ・マリアと、すごく耳馴染みのあるクラシック。(タイトルを知らなかったのですが、あとで検索してモーツァルトの「怒りの日」だと知りました。多分、もう忘れませんw)

原作は、吉田修一さんの『怒り 上・下』(2014年、中央公論新社)。脚本も手がけた李相日監督とは、映画『悪人』(2010年)以来のタッグとのこと。音楽は、坂本龍一さん。映像と音楽とが、すごく合っていたように思います。しばらくあたまから離れないくらい印象的でした。

原作を読んでいなかったので、最初から終盤まで「犯人は誰だろう?」とドキドキしながら、正体不明の人間に心を通わせていく3人(4人?)と同じように疑ってみたり、揺れたり、忙しく見守っていました。最初の場面では犯人の動きを注視したり、犯人の情報を求める番組では防犯カメラの映像や整形後の写真、特徴的な要素に注目したり……。惑わされるように描かれていて、いいように振り回された感です。でも、特定できたときには、すごく腑におちました。そう、あなただったんですね……と。

タイトルの「怒り」は、誰の何に向けての怒りなのか。怒りというよりも、ただ哀しみが無力さが残るようでした。大切なひとの手を最後まで離さずにいられた彼女が、とても強く頼もしく見えました。そこが救済でもあるのかなと。でも、全体の印象としては、ずいぶん前に観た『重力ピエロ』とおなじ記憶の箱にいれてしまいそうです。

と、ここまで直接的なネタバレを避けて感想を語ってみました。ここからは、もう少しだけ内容にも触れてみます。どの役者さんも素敵でしたが、役柄的に綾野剛さんが演じた直人が好きでした。序盤は、相手の性別に関係なく合意って大事じゃないの?!と妻夫木さん(優馬)に戸惑って、そのまま置き去りにされた感がありましたが、そのあとの時間の重ねかたに説得力がありました。「ありがとう」「疑ってるんじゃなくて、信じたいんでしょ?」っていう直人の台詞とか。あんまり名前で呼ばれてなかった気がするなとか。愛子ちゃんの名前がものすごく残ったのと対照的でした。彼はしあわせだったのかなとか。疑ってごめんねとか。手もとに何か残しておいたら良かったとか。せめてお骨だけでもとか。でも、それは自己満足でしかないのかなとか。原作では、それぞれの行く末がどこまで描かれているのか気になります。映画は映画、原作は原作だから、映画の答えが原作にあるとは限らないけれど、そのうち読んでみたいです。★★★★ 

 

他の作品も調べていたら映画『7月24日通りのクリスマス』の原作「7月24日通り」もドラマ『東京湾景~Destiny of Love~』の原作「東京湾景」も吉田修一さんでした。いつか、そちらも読んでみたいです♪