ミオの備忘録

猫と音楽とミステリー、映画が好きです☆

妃は船を沈める

有栖川有栖先生の名探偵 臨床犯罪学者・火村英生が活躍するシリーズの第8長編。雑誌掲載時は中編だった『猿の左手』と後日談『残酷な揺り籠』、そこに二つの物語を接続するための「幕間」が書き足され長編として書き上がった、とのこと。

『妃は船を沈める』(株)光文社 2008年

前に読んだことがあるような、ないような。自分の記憶が不確かでなんとも……。ただ、ファドという音楽や水で割ると白く濁るお酒ウゾーといったエピソードはイメージとして強く残っているので、読んだ……かな。そんな感じで、新鮮な気持ちで読みました。

ミステリーで謎解きと犯人を言ってしまうのは、なんだかルール違反だと思うので、そのあたりには言及せずに感想をまとめてみますね。

 願いを叶えてくれる呪術アイテム「猿の手」については、CLAMPさんの『xxxHOLiC』や西尾維新さんの『化物語』にも出てくるので、元ネタはわりとなじみのある話かもです。とはいえ、元ネタ自体を読んだことがないので、読んでみたいと思いました。(できれば、作中で引用されている森英俊野村宏平編『乱歩の選んだベスト・ホラー』ちくま文庫所収の倉阪鬼一郎氏の訳文にあたってみたいです) 引用されている部分だけでは確かなことは分からないはずなのに、わたしも火村先生とおなじような読み方をしていたので、全文を読んでおなじ読み解き方になるか確かめたいです。

これまで地味に謎だった火村先生の役職名が解決しました。作中で、火村先生が「助教授ではなくなりました」「いいえ。昨年、学校教育法が改正されて、准教授に」と話しているので、現実世界の時系列に沿っているのかな、などと。ちなみに、学校教育法が改正されたのは平成19年(2007年)で、内容は次のとおりです。

2.大学の教員組織の整備(助教授・助手の見直し)(1)  助教授を廃止し、「准教授」を設ける。(2)  助手のうち主として教育研究を行う者のために「助教」の職を設ける。(助手のうち主として教育研究の補助を行う者については、引き続き「助手」とする。)文部科学省HPより一部引用 

〈追加〉コマチさんこと高柳真知子さんが初登場するのもこの作品……なのかな。刊行順に読んでるわけではないので、そのあたりまったく確実なことは言えませんが、少なくとも「はじめまして」と自己紹介をしあう場面はありました。有栖さん、なかなか手厳しいというか評価がシビアです。(←コマチコメントに対する感想)