ミオの備忘録

猫と音楽とミステリー、映画が好きです☆

パンとスープとネコ日和

群ようこさんの小説。ドラマを観て、とても気になったので、本屋さんで探して読んでみました。思ったことを書き留めてみようかと思うのですが、ドラマと小説のネタバレになってしまうことを先におことわりしておきますね。

『パンとスープとネコ日和』『福も来た パンとスープとネコ日和』ハルキ文庫

ドラマを先に観てしまっているから、アキコさんやしまちゃんといったキャラクターだけではなくて、お店の内装や雰囲気までくっきり頭のなかで再現されてしまって、そこは良いのか悪いのか……。自分自身の想像力が怠けてしまっているな、などと思いました。もちろん、まったく同じというわけではないので、原作とは違う部分もありましたが、でも地に足をつけて日々を大切に生きていくって部分はドラマも小説も共通していて良いなぁって。芯になる部分さえ変わらなければ、きっと大丈夫です。

だから、本当は違いなんて大したことじゃないはずなんです。気にしなくても良いはずのこと。……でも、気がついたところだけ。

ドラマでは、お客さまとのエピソードで妊婦さんとのやりとりがありました。原作にはなかった点です。お向かいの喫茶店のママさんがドラマでは喫茶店の制服をピシッと着こなしているので、キャラクター造型が少しだけ違うのかなって思いました。原作では、お店に通ってくるときはジャージだったりするときもあるようでした。アキコさんの先生が怪我をした話は、ドラマでは出てこなかったような気がします。それから、ドラマではアキコさんの弟かもしれないひとが出てきますが、原作ではお兄さんでした。そして、なによりも違いがあるなって思ったのがお母さんのお店に来てくれていた常連さんとの関係。原作では、すっかり疎遠で、よそよそしい感じになってしまっていました。ドラマでは、なんだかんだ商店街の仲間として気にかけてくれて、新しいお店にも顔を出してくれています。もうひとつ、重大な違いがたろのこと。ドラマでは、終盤たろがふらりといなくなってしまって、それはそれで寂しいのですが、原作では亡くなってしまいました。衝撃……。ちょっと、どう受けとめていいか分からなくて。というか、受けとめることができなくて、薄い膜というかビニールごしに眺めるというか触れるというか、そんな感じです。家族を突然なくしてしまうのは、こころに穴が開いてしまうというか、自分の一部分がなくなってしまうようなものなんだろうなって。

って書いているうちに着地点を見失ってしまいました。ドラマと小説、印象の異なる部分もあるけれど、だからこそどちらも楽しめるんじゃないかなって思います。どちらかがどちらかの答え合わせにしかならないのは、やっぱり少しつまらないです。映像でないと表現しきれないものも、小説だからこそ伝わるものもあって、それが良いんじゃないかな。

 

ドラマの話をしたときに書きそびれてしまいましたが、エンディングテーマを歌っているのが大貫妙子さん。耳に残る優しい歌声が大好きです。