ミオの備忘録

猫と音楽とミステリー、映画が好きです☆

映画『ビブリア古書堂の事件手帖』

 前から気になっていたのを、ようやく観ることが出来ました!夜勤明けで眠い目をこすりながら、でも仮眠してしまったら、せっかくの「仕事のない時間」が終わってしまう……なにか有意義に過ごしたい…ということでNetflixのマイリストを眺めていたら、ちょうど良さそうだったのです。(1.原作を読了しているので、あらすじが把握できている 2.大きなストレスがない→誰かが殺されたり、酷い目にあったりしない)

 おもしろかったです。栞子さんが、黒髪ロングでおっとりしていて、本のことになると饒舌で、真面目さと厳しさと愛らしさがあって、声にあたたかみがあって、とても良かった。

 エンドロールで、黒木華さんが「はるさん」だと知りました。ずっと「はなさん」だと思っていました。

※字面でしか知らないと、そういうことがよくあります。陰のあるキャラクターで「かげキャ」なのかなって、こころのなかで読んでいたら、実は「いんキャ」だと知ったり……実生活で流行り言葉を使うことはあまりないので良いのですが、うっかり使ってしまったら(そして伝わらなかったら)、無理やり若作りしているようで痛々しい気がします。気をつけようと思います!

 

 原作が人気のある作品の映像化は、どうしても採点が辛くなるように思います。その理由をあげるなら、

  • 読者の数だけイメージがある 

 作品に対する思い入れが深ければ深いほど、それぞれの心のなかに、そのひとなりのイメージが形作られていると思います。それぞれのなかに、それぞれの「正解」がある。その最大公約数を狙っていくようなもので、母数が増えれば増えるほど難しくなるような気がします。(って、文系がなんとなくで数学を例えに出すと、だんだん深みにはまっていく)(一応、検索して、使いかたは合ってるとは思うけれど、自信はないです)(そして、他のたとえはまったく思い浮かばなかった……残念…)

  • 大人には大人の事情がある

 そういうことなのでしょう。原作では妹だったのが、ドラマでは弟になったり、原作通りの性別で進めないのはどういう意図があるのかなと常々不思議に思うところです。男女の雇用を半々にするように、というような不文律でもあるのでしょうか?

  • 情報量が多すぎて、端折るしかない

 原作では、たとえば数冊に渡って描かれる関係性を映画の2時間弱な尺におさめようと思ったら、どうしても削らざるをえないエピソードも出てくるわけで……そうなると原作を知らないひとには「察してください」原作を知っているひとには「これだけ出せば、あとは分かってくれますよね?」にならざるをえないのかな? ただ、その「どこをたたむのか?」に監督と脚本家の本領というか、フェチというか、原作への愛が叩き込まれ……もとい試されているような気はします。

 原作への愛さえあれば、どんな作品でも認められるというわけでもないと思いますが、「作品を愛しているからこその映像化」と「商業的に成功しそうだから乗っかってみた映像化」は、なんとなく違いがあるように思います。前者は知らず知らずのうちに惹き寄せられる魅力があって、後者はどれだけ宣伝を目にしてもまずは全力で回避したい。

 

 閑話休題。映画は、カウンターのなか本に囲まれながらページをめくる栞子さんとか、まっすぐで一本気な大輔くんとか、とにかく主要人物か魅力的でした。ビブリア古書堂の店内とか、古書を扱う手元とか、ページをめくる音とか、イラストから思い浮かべた通りの作品って感じがします。

 ただ、話のボリュームというかバランスが、なんというか「ばぁちゃんの秘めた恋」に全振りしていたかなって思いました。監督や脚本家のかたにとっては、そこがこの作品の肝だったのかな?(わたしにとっては違うけれど) そのせいか、物語の鍵を握るアイテム「晩年」(太宰治)の処遇も変わってきて、なんとなく把握してきた人物像がゆらぐことに……映画としてはきちんと閉じていて良いのかもしれませんが、途中で手を離されたような、「あれ?こんな話だっけ?」感は否めませんでした。良いとか、悪いとか、そういう話ではなくて、ただ、あぁ違うなってことですけど。そういうことです。

 あと、関係ないのは重々承知のうえなのですが、時々とある俳優さんのスキャンダルがあたまを過ぎって、無駄な雑音だなって思いました。それは、わたしが悪いです。(楽しい話題でもないので出来るだけネットニュースを見ないようにしていたせいで、「不倫のひと」ってイメージだけが残ってしまいました。)

 

 そういえば、映画化だけではなくて、この作品はドラマ化もされています。あいにく、そちらも観ていませんでした。なんとなく原作がないがしろにされているような気がして、反感を抱いてしまったので……(その頃は、原作自体を読んでいなかったので、フラットな気持ちだったはずなのですが) ネットニュースで「原作は知らないけど頑張ります」みたいな記事を見かけて、合わないなぁと切り捨てた感があります。

 今回、話題にとりあげるにあたって、公式サイトのキャストインタビューを読んだら、原作を「台本を読む前に読みました」とあって、食わず嫌いだったなと思いました。観てみたら、おもしろかったかもしれないのに……。

 気持ちに余力があるときに、挑戦してみようと思います。

 

ビブリア古書堂の事件手帖

ビブリア古書堂の事件手帖

  • 発売日: 2019/04/10
  • メディア: Prime Video