ミオの備忘録

猫と音楽とミステリー、映画が好きです☆

映画『今夜、ロマンス劇場で』

 少し前に劇場で公開されたばかりのように思っていたのに、Netflixにありました。去年の5月に地上波テレビ放送もされているみたいで、それだけ人気のある作品だということでしょうか。

 まだ感染症が流行する前の時期で、それだけに劇場で観たかったなって思いました。家で、のほほんと楽しんでおいて何を言うって感じですけど、大きな画面で、映画館で、観客席が埋まっているような状況で観たら、もっともっと楽しかっただろうな……

 映画館で映画を観ることは、体験だなって思います。応援上映でなくても、一緒に観るひとたちが、なんらかの経験を共有できる。大画面でのドラマに一喜一憂して、笑ったり、息をのんだり、ドキドキしたり、ハラハラしたり、涙したり、その場所でこそ味わえるものがきっとある。そういうの、なんか良いなぁって思います。(名探偵コナンの新作映画を観に行きたいです……)

作品情報

今夜、ロマンス劇場で』(こんや、ロマンスげきじょうで)は、2018年2月10日公開の日本映画。主演・綾瀬はるかと坂口健太郎によるラブストーリー。公開から4か月後に死去した加藤剛の最後の映画出演でもある。

あらすじ

映画監督を志す健司は通い詰めた映画館「ロマンス劇場」で憧れのモノクロ映画のヒロイン、美雪と出会う。健司はモノクロの姿のまま現れた美雪に色とりどりの現実の世界を案内するうちに2人は惹かれあっていく。しかし、美雪は人のぬくもりに触れると消えてしまうという秘密を抱えていた。

キャスト

美雪 - 綾瀬はるか

牧野健司 - 坂口健太郎

成瀬塔子 - 本田翼

俊藤龍之介 - 北村一輝

三獣士・狸吉 - 竹中直人

三獣士・虎右衛門 - 池田鉄洋

三獣士・鳩三郎 - 酒井敏也

牧野健司(晩年) - 加藤剛

(ウィキペディア今夜、ロマンス劇場で」より抜粋)

ネタバレ含みの感想

 晩年の健司の独白から物語は幕をあけます。「誰かが言った、映画にはたくさんの喜びと感動をくれる奇跡のような力がある、と」「しかし、そんな名画たちの陰で忘れられていく映画もまた星の数ほど存在する」「誰にも観られず必要とされず忘れられていく映画たち」「彼らには、もう価値などないのだろうか?」(←ひたすらメモしました) _φ(・_・

 この映画自体が、その答えになっているのだと思います。

 健司(坂口健太郎)が気に入っている古い映画「お転婆姫と三獣士」ある日、その作品の中から、姫であるところの美雪(綾瀬はるか)が飛び出てきます。(画面の中から外の現実世界へ)出てきたばかりのときは、ドレスも自身の姿も白黒です。おもしろい!

 なんだか、あんまり人気がなかったみたいな表現をされていた「お転婆姫と三獣士」(廃棄印を押されて倉庫のなかで長いあいだ忘れられる) 冒頭と途中で上映されますが、地味に楽しげな感じでした。狸の狸吉(たぬきち)(なんか分かる)、虎の虎右衛門(とらえもん)(……青いネコ型ロボットが、あたまの中を通り過ぎていきました)、鳩の鳩三郎(クルッポー)!健司にとっては、味わい深いものがあったんだろうな。

 映画から出てきたばかりの姫は、ごく自然に災厄を振りまいて、傍若無人もあいまって「お転婆姫、ここに推参!」といった体ですが、なくしたお守りを探したり、心細そうにしたり、しゅんとしたりしていると、花がしおれてしまったようで、普段のギャップとあいまって愛しさがつのります。可愛い!でも、えらそうにふんぞり返って、健司相手に「下僕」呼ばわりしているほうが、活き活きしていて、もっと可愛いです。

 最初は、(お転婆というか、ワガママというか、困ったひとだな)って感じなのが、(まぁ姫だから仕方ないか。可愛いところもあるし)って感じに、気持ちが変わっていきます。それは、たぶん健司も同じで、というか健司の想いが変化するからこそ、観ている側も見方が変わるのかな。

 姫の服装が可愛いです。健司が用意したのか、衣装をこっそり使わせてもらっているのか分かりませんが、いろんな服装を見られて楽しいです。母が、「ローマの休日みたい」って言ってました。たしかに、そんな感じあります。なんとなくですけど。

 映画から抜け出てきた姫。どうやって出てきたかは分からないままですが、人のぬくもりに触れると消えてしまうという謎ルールがあります。そうなんだ……っていうか、なんで?映画のなかのひとだから?存在がフィクションだからかな?しかも、役者さんというわけではないのです。その役柄そのものというか、キャラクターとして、外へ出てきている。誰にも観られなくなって久しかったのに、取り出して、上映して、熱心に観てくれるひとがいる。そのひとに会いたいという想いで、外の世界へ出てこられた。だからなの?(のみこみの悪い子なのです)

 

 そうして、姫は消えてしまい、健司さんは寿命を迎えつつあります。書きかけたままだった脚本「今夜、ロマンス劇場で」を病室で書き進める健司さん。

 書き上がった脚本は、古城 広間(白黒映像)。主賓席に姫の姿。広間を埋める客人たち。すると、後方に若かりし日の青年があらわれる。姫の前まで進み出て、一輪の赤い薔薇を差し出した。姫は薔薇を受け取るーと、その瞬間、白黒だった世界が姫の身体が鮮やかな色に包まれた。身体を包む色を見て、姫の目から涙があふれる。姫はうれしくて、青年の胸にとびこむ。しあわせそうに抱き合う姫と青年。2人を包む鮮やかな色は2度と消えることはない。これからも、ずっと―〈完〉

 最後のシーン、脚本に被さる形で、古城 広間の場面が進んでいきます。母が「映画の世界に入っちゃったの?」って言っていて、わたしは「健司さんが書き上げた脚本だよ」って答えたのですが、感想を書くにあたって、うろ覚えすぎた部分を振り返ってみたら、母のほうが正解だったかなって思いました。どう捉えるかは人ぞれぞれ、みたいな部分かと思いきや、そうでもないのでは。

 健司さんが書き上げた脚本は、姫が涙をこぼしたり、青年の胸にとびこんだりしてますが、流れた映像は姫が健司さんのほっぺをひっぱって、口づけする。涙はこぼれない。広間には、かつての映画仲間たちがいる。みんな、映画のなかに入ってしまったの?それならそれで、姫も三獣士にした約束を果たせて(「必ず戻ってくる」)、良かったなって気持ちになります。

 なので、この感想を書きながら、ちょっとだけ映画の印象が変わりました。

 

 あたたかくて、少し寂しくて、でも明るい感じで終わっています。悲しいだけで終わらないのは、良いなぁ。🦋

 

今夜、ロマンス劇場で

今夜、ロマンス劇場で

  • 発売日: 2018/08/17
  • メディア: Prime Video
 

 来年の宝塚歌劇公演のラインアップに決まったみたいですよ。

2022年 公演ラインアップ【宝塚大劇場東京宝塚劇場公演】<2022年1月~3月・月組今夜、ロマンス劇場で』『FULL SWING!』>

月組公演

■主演・・・月城 かなと、海乃 美月

宝塚大劇場:2022年1月~2月(予定)<一般前売:未定>

東京宝塚劇場:2022年2月~3月(予定)<一般前売:未定>

ミュージカル・キネマ

今夜、ロマンス劇場で

原作/映画「今夜、ロマンス劇場で」(c)2018 フジテレビジョン ホリプロ 電通 KDDI

脚本・演出/小柳 奈穂子

(「宝塚歌劇 Official WebSite」より)