なんとなく観てみました。『きみと、波にのれたら』(2019年)と同じ湯浅政明監督の作品。キャラクターデザイン原案は、ねむようこさん。
作品紹介
『夜明け告げるルーのうた』(よあけつげるルーのうた)は、湯浅政明監督の長編アニメーション映画。2017年5月19日公開。キャッチコピーは、「君の"好き"は、僕を変える」。
概要
数々の受賞歴を持つ湯浅政明によるオリジナル長編アニメーション作品。本作は、湯浅が抱いていた「心から好きなものを、口に出して『好き』と言えているか?」という現代への疑問を着想の源に、主人公の少年による"心の解放劇"が物語の主軸となっている。
登場人物
ルーと「セイレーン」のメンバー
ルー 声 - 谷花音
幼女に近い姿をしている。緑色の髪を持ち、ワカメでできた服を身にまとっている。人語を解するが、片言に近い話し方をする。音楽に合わせて踊ると、居合わせた人間が勝手に踊り出してしまう場合がある。母親については「食べられた」とカイに話している。カイの祖父の少年時代に、彼の母親を噛んで助けた人魚はルーに似たシルエットをしている(ただし、作中でルーと明示されていない)。
足元カイ 声 - 下田翔大
中学三年生の男子。東京出身。母からの手紙には宛名が「足元海」と記されている。普段はほとんど感情を表に出さなかった。ルーと出会ってからは笑顔を見せたりするようになり、遊歩からは以前のカイのほうがよかったとも言われている。ルーと出会う前から人魚の伝承に関心を示して本を読んだりしていた。打ち込みをアップした際には"merman"というハンドルネームを使用し、「セイレーン」への参加も人魚島で練習することに興味を示したことが発端だった。
海老名遊歩 声 - 寿美菜子
カイのクラスメイトで、「セイレーン」のボーカル兼ベース。町の水産業「えびな水産」社長の一人娘。ツインテールのような髪型をしている。東京に出てファッションモデルになったり、バンドで有名になりたいという夢を抱いている。自分中心な一面があるが、公式サイトでは「本当は自分に自信がなく、いつも誰かに頼り、思っていることと逆のことを言ってしまう」と記されている。歌はうまくなく、カイからそのことについて指摘を受けている。
国夫 声 - 斉藤壮馬
カイのクラスメイト。姓は不明。「セイレーン」のギター担当。日無神社の跡取り息子のため、バンドをすることを親には秘密にしており、灯籠祭ではカイ同様魚のかぶり物を被っていた。遊歩には密かに思いを寄せている。
周囲の人間
足元照夫 声 - 鈴村健一
カイの父親。眼鏡をかけている。えびな水産に勤めているが、海には出ない。若い頃はバンドをしており、当時録音したテープが実家の舟屋に残っていた。バンド活動によってクラスメイト(尚子)と恋仲になり、東京に出てダンサーとなった彼女と結婚してカイをもうけたが、離婚してカイとともに実家に戻っている。
カイの祖父 声 - 柄本明、平林麗大(幼少時)
遊漁船の船主をしているが、船長は外の人間を雇って自らは海に出ない。現在は母親に教わった傘の製作を手がけている。
スタッフ
主題歌
エンディングテーマ 「歌うたいのバラッド」 作詞・作曲・編曲・歌 - 斉藤和義(SPEEDSTAR RECORDS)
作中ではクライマックスでカイが歌う。カイが父のバンドのテープからこの曲を見つけ、ネットで検索して斉藤の名前の入った結果が表示される描写があり、本作の世界においても「斉藤和義の歌」として存在している設定である。
(ウィキペディア「夜明け告げるルーのうた」より抜粋)
ネタバレありの感想
🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐾🐱🎶🎸🎤🌊🐕🦈
小さな人魚が出てくると聞いて『崖の上のポニョ』が頭を通り過ぎていきましたが、まったく趣の異なる作品でした。
キャラクターが、ぬるぬる動いて、とてもおもしろいです。
カイくんは、ネットに音楽をアップしています。ちょっとした映り込みで、それが同じ学校の友だちにバレます。そして、バンドのメンバーに勧誘されます。人魚島で練習することに興味を持ち、参加を決めます。今は廃墟となった遊園地のステージで音楽を奏でると、どこからともなく歌が聴こえてきます。
そんなこんなで、カイは人魚のルーと出会います。
水がキューブ状に迫り上がってくるところとか、『きみと、波にのれたら』で見た幽霊ミナトくんの能力に似てるなって思いました。(……どちらかといえば逆ですね。こっちのほうが先。)
カイくんは、魚の食べかたがキレイです。
ルーは、可愛い。音楽を聴くと、下半身が魚の姿から二本足へと変化します。普段が魚の姿だとは思えないほど、ダンスにキレがあります。そして、音楽がやむと、魚の姿に戻ります。
音楽を、割とフルで聴くことができて、すごく大事に作られているんだなって思います。「音楽の力」を信じている気がする。
ルーとカイが、真夜中の散歩をするところが好きです。
それから、人魚ならぬワン魚たち。可愛いです。人魚に噛まれると、犬も人魚になってしまうのです。
伊佐木先輩(声 - 伊藤静)、カッコ良かったです。おいしい料理を作ることができて、具体的な夢があって、それに向けて行動できる。そこに至るまでには、いろんな迷いがあったかもしれませんが、それを乗り越えたからこそ見えるものがある。素敵だなって思います。
「ほんとのことは自分の中にしかないからね」
町が浸水していくなか、人魚たちの助けもあって、住民たちがみんな避難できているところが良いなぁって思いました。安心できる。みんなに避難を呼びかける放送を頑張っていた国夫も、普段から町内放送に携わっていて避難の際も携帯電話を介して放送を手伝っていた伊佐木先輩も、みんな無事で良かったです。
タコ婆とカイの祖父は、波間に、かつて人魚になって海に消えてしまった大切なひとを見て、一緒に人魚になって行ってしまったんですね。寂しいけれど、タコ婆もカイのおじいちゃんも大事なひとと会えて良かったです。
お陰岩がなくなって、日無町に陽射しが降りそそぐようになって、人魚たちはいなくなってしまいます。どこへ行ってしまったのか……きっと、どこか陽射しの届かない深い海の底で、あるいは陽のあたらない どこかの島の陰に みんなで暮らしている……って、信じても良いですよね?🦋