原作は、ずいぶん前に読みました。すごくおもしろかった。
映画化ということで気になっていたのですが、折しも自粛が呼びかけられていた時期で、映画館に行けないまま見逃してしまいました。残念に思っていたのですが、AmazonPrimeVideoにあって、さっそく観ることができました。(新作なのに?!)
作品紹介
『ファーストラヴ』は、島本理生による長編ミステリー小説。父親を刺殺し逮捕された女子大生と事件を取材する臨床心理士、それぞれの周辺人物を通じて、現代社会における家族の闇を描く。第159回直木三十五賞受賞作。
映画
劇中に登場する報道写真は佐藤慧・安田菜津紀が提供している。
キャスト(映画)
スタッフ(映画)
- 原作:島本理生『ファーストラヴ』(文春文庫刊)
- 監督:堤幸彦
- 脚本:浅野妙子
- 音楽:Antongiulio Frulio
- 主題歌:Uru『ファーストラヴ』(ソニー・ミュージックレーベルズ)
- 挿入歌:Uru『無機質』(ソニー・ミュージックレーベルズ)
(ウィキペディア「ファーストラヴ(小説)」より抜粋)
感想とネタバレ
もともと原作でも好きなキャラクターなので、庵野迦葉(中村倫也)が良いなぁって思いました。
🐾🐾🐾🐾🐾🐱💓🌻😼😺📷
幼いころに受けた性暴力やトラウマ、自傷行為、そういったことが積み重なって、結果的に、実父にナイフが刺さって死んでしまうという事件につながってしまいます。
原作では、大人たちの執拗で粘着質な感じ、子どもにとっては脅威でも大人たちの間ではもっと軽んじられているような、冗談や悪ふざけの延長のような感じが、あったように思います。なので、加害者であり、ある意味では被害者でもある環菜ちゃんの絶望もまた深いように感じられました。臨床心理士である由紀の心の闇とも呼応して、いろんな感情が渦巻くような気がします。
映画では、わりとあっさり表現されていたように思いました。それでも、映像は説得力が桁違いなので、あえて描きすぎないようにしたのかなって思いました。
小説なら、なんとか読めても、まるっと原作通りの映像化では重すぎて喉を通らないこともあるかもしれません。なんだか絶妙なバランスって感じがしました。
自分のこころと過去に向き合って、事実や感情を整理することで、前に進めることってあると思います。正しく認識することって大事です。そして、自分の気持ちと折り合いをつけていくことも………。傷ついた、悲しかった、嫌だった、苦しかった、誰かに助けてもらいたかった、そういう気持ちをなかったことにはしない。受けとめて、認めて、抱きしめる。そのうえで、ようやく前に進めるのだと思います。
手許に本がないので、記憶だけで語っていますが……なんとなく最後の場面が、映画と小説で違っていたかなって思いました。
映画は、我聞(窪塚洋介)さんの写真展で、子どもの頃の迦葉と我聞さん、両親の家族写真が展示してあって、その写真について我聞さんが由紀に話す……というような流れでした。原作は、誰かの結婚式で、由紀は招待客、我聞さんはカメラマンを頼まれていたような気がします。(わたしの記憶力!しっかり!) なんとなく、全体的に暗めで重くて、どんよりしていた感じだったのが、終盤にかけて、こころの重しが取り除かれるように軽くなっていって、その誰かのお祝いの場面では世界が優しく色づいているというか、明るくて温かみのある色合いっていう印象が強く残っています。なんとなく、そこに救いを見いだせるような……
映画は映画、原作は原作で、素敵にまとまっていたと思います。ぼんやりしているようで、意外と弟にも妻にも目配り、心配りが行き届いている我聞さんも、なかのひとがピッタリだなって思いました。🦋