ミオの備忘録

猫と音楽とミステリー、映画が好きです☆

映画『28DAYS』

 Netflixで配信終了間近だったので、観てみました。

 アルコール依存症患者が、更生施設で更生する……という話です。大ヒットしたかは分からないですが(ウィキペディア興行収入で比較すると『パニック・ルーム』の3分の1くらい……かな?)、なんだか良かったです。

作品紹介

『28DAYS』(トゥエンティエイトデイズ、原題: 28 Days)は、2000年のアメリカ映画。日本では劇場未公開で、後にビデオスルーされた。

上映時間 104分

キャスト 

※括弧内は日本語吹替

スタッフ 

  • 監督:ベティ・トーマス
  • 製作:ジェンノ・トッピング
  • 脚本:スザンナ・グラント
  • 撮影:デクラン・クイン
  • 音楽:リチャード・ギブス
楽曲 
  • 劇中歌:スリー・ドッグ・ナイト(en:Three Dog Night)「ジョイ・トゥ・ザ・ワールド(喜びの世界)」

(ウィキペディア「28DAYS」より抜粋)

お酒に溺れて暮らすグエン。姉の結婚式で泥酔した末、事故まで起こしてしまう。リハビリ施設に入った彼女は、抵抗しながらも仲間と心を通わせ、人生を見つめ直す。

(Netflix「28デイズ」あらすじ)

感 想 (ネタバレも!)

 みなさんは、お酒 好きですか? どれくらい飲みますか? 健康を損なってはいませんか? おいしく、楽しめていますか? お酒での失敗は、ありませんか? 休肝日を作ることはできますか? つまり、週のうちの何日か、自分で決めて、お酒を飲まずにいることができますか?

 おいしく、楽しく、お酒とつき合えているのなら、何の問題もありません。 ただ、健康面であったり、日常生活に支障が出ているのなら、少し見直したほうがいいかもしれません。

 

 良い作品だと思いました。すごく分かりやすいです。

 冒頭の、グエン(サンドラ・ブロック)がお酒に溺れている感じは、すごく………なんだろう……普通じゃない感じがします。姉の結婚式に寝過ごして遅れて、道中も、着いてからも浴びるようにお酒を飲んでいます。グエンがビュッフェ形式の皿をそのへんの椅子に乗せて、招待客がうっかり上に座ってしまったり(これは……椅子の上を見なかったほうも悪いのでは?)、姉と、その夫に配慮のないスピーチをおこない、ダンスではハメを外してウェディングケーキに倒れかかってダメにしてしまい、「買ってくる」と新郎新婦が乗るはずの車で式場をあとにして、あげく運転を誤って、民家に突っ込んでしまう。

 姉は、怒っていいと思いますよ。結婚式なんて、人生でそう何度も経験することのないハレの日なのに………

 

 そして、グエンは、刑務所で服役する代わりにリハビリ施設に入所することになります。

 

 他人事ではない話でした。と言っても、わたし自身がアルコール依存症だったわけではありません。(ただ、すごく身近に起こった出来事ではあります) わたしは、こういう話を知っている。

 日常生活に影響があるかどうかが、ひとつの指標になるのではないでしょうか。それでも、すでに仕事を退職していたり、もとから認知機能に低下がみられたりすると、そんなに変化を感じないかもしれません。ポイントは、「自分の意志でやめられるか」「飲まない時間を作れるか」「飲まないことでイライラしたり、怒りっぽくなったりしないか」あたりだと思います。自分でも、周りのひとでも、そういったことに思いあたることがあれば、自己診断テストをしてみるのも良いかもしれません。

 製造メーカーが自己診断テストをネットに上げてくれているなんて、なんというか信頼度と好感度が上がりますね。

アルコール依存症自己診断テスト|人とお酒のイイ関係|アサヒビール

 

 国は違っても、更生施設のカリキュラムって、そんなに違いはないみたいです。なので、21年前の映画ですが、あまり古さを感じませんでした。

 ひとりではうまくいかないからこそ、仲間と一緒に依存症からの脱却を目指していきます。みんなで話し合う時間をもって、相手に共感したり、反発したり、自分の気持ちを素直に言葉で表現する練習をします。家族に会える日があります。家族に来てもらって、一緒に面談する時間もあります。アルコールや薬物に依存してしまうのは何故か、どこに理由があるのか、自分自身を知ることが必要なのです。それは過去であったり、考えかたのクセだったり、家族との関係性だったりします。依存症とは、どういう問題なのか、本を読んで学びます。講習の時間があります。(先生もまた元依存症患者で、禁断症状のつらさなどを身を以て知っています。だからこそ、気持ちに寄り添ったアドバイスができるのかもしれません) それから、みんなで歌ったり、誓いを唱えたりもします。

 リハビリ施設に来たばかりのグエンも言っていましたが、「なんだか宗教施設みたい」です。でも、特定の宗教はありません。あるとすれば、1日1日の積み重ねです。最初から、完全に断つことは求められていません。まずは、今日いちにち。アルコールも薬物も摂取しない。そうして、今日を終えたら、次の日がやってきます。そして、またアルコールも薬物も摂取しない日を過ごします。それを、ただ繰り返していく。

 その先に、1週間、1ヶ月、1年さらには10年があります。

 

 脱線してしまいましたね。(でも、そんなに大きく外れてはいないと思います。映画自体もリハビリ施設で更生プログラムを受けて、更生していくという話なので。)

 ルームメイトのアンドレア(アズラ・スカイ)が可愛いです。最初は可愛げのないキャラクターだと思いましたが(たぶんグエン目線で見てるから)、打ち解けていくにしたがって、だんだん可愛く見えてきます。アンドレアが大好きなドラマがあって(設定が山盛りの昼ドラみたいな)、たまに観ている場面が出てきますが、おもしろいです。演技がコッテリしているというか大仰で、テレビドラマだけど舞台のような雰囲気があります。でも、そんな振り切った設定だからこそ、他のみんなもハマっていくのが分かります。なんか、小難しそうな病名とか言ってみたくなりますね!

 野球選手のエディ(ヴィゴ・モーテンセン)は、カッコイイです。優しいし、思いやりがあるし、大好き!(『ロード・オブ・ザ・リング』のアラゴルンですって!……わか……らない。残念。映画を観てない。でも、たぶん円盤は1巻だけ持ってるので、アラゴルンのビジュアルだけは知ってました。好き!)(そのうち観ようと思います。)

 どうにもやりきれない悲しい出来事が起こったり、退所していったはずのひとが出戻って来たりします。映画のなかでは、10人に7人(だったかな?)は戻ってくると言っていました。世間には誘惑が多く、自分の意志だけで断ち切るのは難しいです。

 でも、新しい自分を望むなら、変わらないと!

 

 グエンは、施設から卒業しても、アルコールを断ち続けたいと思っています。でも、恋人は協力的ではありません。そんなとに、街なかで馬に出会います。リハビリ施設でのカリキュラムに「馬の蹄をチェックする」というものがありました。馬に脚をあげさせて、蹄の観察をします。グエンは、うまく出来たことがなかった。でも、教わったことを思い出しながら、挑戦しようとします。馬に声をかけて協力を求めてから、「小さなことを頑張る」「肩の力を抜く」「あとは天に任せる」力を入れるのと同時に馬が脚をヒョイと持ち上げてくれます。なんだか、観ていて、すごくうれしかった。そして、恋人と別れます。(英断ですね)

 

 そんなこんなで、オススメです。

 

 あと、印象深かったのは、「施設から卒業して、どれくらいの期間があいたら恋愛しても良いのか?」という質問に対しての、先生の答えです。

 「まず、外へ出たら、植物を買います。そして、大事に育てます。1年経ったら、次は動物を飼います。(犬か猫だったかな……?) そうして、大事に育てます。そうして、もう1年経って、卒業して2年が経っても植物も動物も元気に育っていれば、恋愛しても良いですよ。」というもの。それって、すごく分かりやすいなって思いました。植物や動物を育てるって、自分のことだけで手いっぱいだと難しいです。アルコールや薬物以外に、こころを傾けるものがあって、それを大事にすることができれば、それは恋人のことも大事にできるということなのかな……と思いました。🦋

 

 劇中歌の「ジョイ・トゥ・ザ・ワールド(喜びの世界)」〔スリー・ドッグ・ナイト(en:Three Dog Night)〕すっごく好きです。耳馴染みの良い曲。車のCMかなにかで使われていたのでしょうか……ものすごく聴いたことがありました!

 歌詞を気にしたことがなかったけれど、「一緒に酒を飲んだものさ」みたいな部分があって……グエンが退所する日にみんなが歌ってくれるのを観ながら、(うん、でもこれからは別のもので乾杯してね)って思いました。冷たくて、おいしい、甘さ控えめのジュースとか……ね。