「おいしいもの」つながりです。明けだけど、今日は元気がありあまっていますよ。感性のほうは、ちょっと鈍っているかもしれませんが………
作品紹介
『ラストレシピ〜麒麟の舌の記憶〜』(ラストレシピ きりんのしたのきおく)は田中経一の小説作品。2014年に『麒麟の舌を持つ男』のタイトルで幻冬舎より刊行され、2016年に文庫化された際に改題された。2017年には同作を原作とした映画が公開された。
あらすじ
顧客の「人生最後に食べたい料理」を再現して高額の報酬を得る佐々木充は、絶対味覚を持つ最期の料理人である。しかし、彼は今、料理への情熱を忘れかけていた。その時、かつての満州国の料理人・山形直太朗が考えて作り上げた「大日本帝国食菜全席」のレシピを再現するために立ち上がる。
映画
2017年11月3日公開。主演は嵐の二宮和也。
登場人物
戦後〜現代
佐々木充 - 二宮和也(3歳 - 高野景大、15歳 - 吉澤太陽)
通称「最期の料理人」。「麒麟の舌」と呼ばれる絶対味覚の持ち主で、全ての味を記憶・再現することができる。依頼人が「最期に食べたい料理」を再現して報酬を得る。幼少期に両親を亡くして施設で育っており、自らの才能を用いて起業するも失敗、多額の借金を抱え込む。
大衆中華料理店の店長。幼少期に親に捨てられ、充と同じ施設で兄弟同然に育った。充の才能を最初に見抜いた人物。
楊晴明 - 笈田ヨシ
中華料理界の重鎮。かつて満州国で日本人の料理人が考案した伝説のフルコース「大日本帝国食菜全席」の再現を充に依頼する。
鎌田正太郎 - 伊川東吾
かつての直太朗の助手。現在は山の中にある料理店「萃香庵」の店主。
鈴木太一 - 大地康雄(幼少期 - 佐藤結良)
児童養護施設「すずらん園」の園長。天涯孤独の身の充を3歳の時に施設に引き取り、育てていた。
山形幸 - 広澤草
直太朗と千鶴の娘。
「すずらん園」の職員。充・健と同時期に施設で育った。
1930年代
山形直太朗 - 西島秀俊
「麒麟の舌」の持ち主。かつては宮内省で天皇の料理番を務めていたが、「大日本帝国食菜全席」を作成するために満州国へ渡航する。太平洋戦争開戦の直前に、レシピとともに姿を消す。
山形千鶴 - 宮崎あおい
直太朗の妻。夫を支えるため、ともに満州国へ渡る。レシピ集の作成にも携わる。
鎌田正太郎 - 西畑大吾
直太朗の助手として雇われた料理人。
三宅太蔵 - 竹野内豊
満州国ハルビン関東軍司令部の大佐(後に少将)。日本の威信を諸外国に示すため、直太朗を満州へ招き、「大日本帝国食菜全席」の作成を命じる。
楊晴明 - 兼松若人
中国人の料理人。直太朗の調理助手として雇われた。
山形幸 - 庄野凛
直太朗と千鶴の娘。1933年生まれ。
鈴木料理長 - 竹嶋康成
直太朗が働く満州国の官舎厨房の料理長。
スタッフ
感 想(ネタバレ少なめ)
もともと綾野剛さんが出演しているということで、気になってマイリストに入れてました。でも、なかなか観ようって気にはなりませんでした。なんとなく、パッと見たときに2時間以上あると躊躇してしまいます。なんか長いなって。2時間5分なんて、1時間58分と大差ないはずですけどね……
想い出の味を再現することを生業として、借金返済に奔走している佐々木充(二宮和也)。優れた味覚を持っていて、思い描いた味を再現できるだけの腕があります。そんな佐々木のもとに舞い込んだ依頼が「かつては宮内省で天皇の料理番を務めた山形直太朗(西島秀俊)の作成したレシピ「大日本帝国食菜全席」を再現すること」。佐々木は、幻のレシピを求めて、当時を知るひとたちに話を聞きに行きます。
関係者の語る過去と現在とを行き来しながら、物語は進んでいきます。「大日本帝国食菜全席」のレシピを探す旅は、すなわち山形直太朗(西島秀俊)の満州での料理との向き合い方を辿る旅でもありました。最初は、自分の技術と感性だけを信じていた山形さんが、仲間との出会いや妻とのやりとりから、「ひとを信頼すること」や「誰かを想って作ること」「よろこんでもらうために料理すること」へと方針を変えていきます。
山形さんの最初の姿勢は、こだわりが強く、スタッフに任せることができず、結果的に自身の店を手放すことになってしまった佐々木に似ています。佐々木は、幻のレシピと山形さんについての話を聞くことで、山形さんの考え方に触れ、自分自身の過去とも自然と向き合うことになります。
レシピは、どこにあるのか?そこには、どんな経緯があったのか?彼の地での出来事と山形さんの最期、そしてレシピのゆくえは?! そこには、夫から妻へ、父から娘へ、母から息子へのあたたかな想いがこめられていました。
ということで、気になったかたは観てみてね!
料理をするときの包丁さばきとか、食材の扱いかたとか、厨房の掃除に至るまで、料理人たちって感じで良かったです。職人って感じで、瑕疵のある料理を躊躇なく破棄してしまうところは、観ていて(……食べものが粗末にされてる🙀💦)と思ってしまいましたが、そのほかはゾワゾワすることなく観ることができました。おなじ「料理」をとりあげるにしても、アプローチはぜんぜん違うんだなって思います。
それから、出てくる料理が、どれもおいしそうでした。家では、到底つくれそうにないけれど、最上の食材と最高の技術で創り上げた一品といった感じがします。
最後に、山形さんが遺したレシピの冒頭部分を引用しますね。この物語そのものをあらわしているように思えたので……🦋
庖丁は父
鍋は母
食材は友
レシピーは哲學
湯気は生きる喜び
香りは生きる誇り
できた料理は、君そのもの
それを食すは、君想ふ人
エンドロールで山形さんの創り上げたレシピの料理と、それをアレンジした彼の料理とが交互に出てきて、なんだか素敵な余韻がありました。