ミオの備忘録

猫と音楽とミステリー、映画が好きです☆

「武士とジェントルマン」

 こんにちは。

 なんとなく図書館で見かけて手に取ってみました。気になるタイトル。表紙の絵柄も素敵です!

(「武士とジェントルマン」奥付より抜粋)

 どこかで見たことがあるような………ないような………と思っていたら、装画は萩尾望都さんでした。(「ポーの一族」は文庫を持ってます✨)

 完結しているのか、続きものか気になって、検索してみたら、朗読劇がヒットしました。もとは「カドブンノベル」に掲載されていたもので、書き下ろしのエピローグを加えて、書籍化されています。そして、そのあとに朗読劇化したようです。2023年………今年の初めですね!

 榎田ユウリさんは、読みやすくて、キャラクターへの眼差しが優しくて、人生への信頼があって、とにかく大好きです。すべての作品を読んでいるわけではないですが、そのうち全作品を履修したいと思えるくらいです。オススメ。

 死神の話と、妖怪探偵と………シリーズを追いかけているのは、それくらいかな。著書が多いので、これからの楽しみですね!*1

 ということで、前置きが長くなりましたが感想です。おもしろかった!

 大学講師として来日した英国紳士アンソニー。恩師が手配してくれた居候先は、到着するまでは秘密。決して検索してはいけないと。前情報なしに、空港へ迎えに来てくれた青年に出会ってビックリ。彼は、キモノにカタナ、チョンマゲの武士だったのです!その彼・隼人が言うには「伝統文化の保持ならびに地域防犯への奉仕を目的とする新しい武士制度」として現代の武士は存在している、と。こうして、英国紳士と青年武士の不思議な同居生活が始まりました。地域で愛され活躍している隼人でしたが、実は悲しい過去も抱えていて……。  

 視点人物がジェントルマンこと英国紳士のアンソニーなので、異文化としての日本の生活を、新鮮な気持ちで眺めることができます。楽しい。アンソニーは日本語が流暢で、でもたまにオノマトペや細かいニュアンスに困難さが見られる。けれど、新しい言葉をどんどん吸収しています。そして、武士についても理解しようとしている。「気持ちがモヤモヤする」をモフモフすると言い間違えて、頼孝(隼人のブシダチ)に「モフモフはこう、犬猫とか、アルパカとか……ファーが気持ちいい感じの擬態語です。」って教えられてるところがツボでした。

 高齢者介護、認知症、ヤングケアラー、親族間の不和、ジェンダー………などにも触れられていますが、深刻になりすぎないところが良いです。ちゃんと向き合って、当事者としての解決が提示されている感じ。

 興味を持たれたかたは、是非!

 例によって、良いなって思った文章を引いておきます。前後の文脈がないと分かりにくいかもしれませんが………

You should go there without any preconceptions.

「先入観を持たずに行きたまえよ」

 私たちはしばらく黙って、敷き詰められた散り花を眺めていた。どんなに美しい花だろうと、散り落ち、踏まれ、土に還る。花も死ぬのだ。私たちは少しばかり賢いだけのサルだが、このサルは自分がいつか死ぬことを知っている。その恐怖を打ち消すため、時に人は『死』を美化したがるのかもしれない。

 私たちは間違える。毎日毎日、間違える。

 他愛ない間違いもあれば、深刻なものもある。それらひとつひとつを吟味し、省みるなどという生活は不可能に等しい。まるで山に籠もる修行者だ。だからせめて、見落としてはいけないいくつかだけ、掬い上げたい。自分の間違いと対峙するのは気鬱なことだけれど、それを避けないのが紳士であり、成熟した大人なのだろう。

 そんなこんなで、今日はこの辺りで。また明日!🐥💓

☆☆☆あなたが笑顔で過ごせる毎日でありますように!☆☆☆

*1:カブキブ!」もそうでしたね。大好きです!