ミオの備忘録

猫と音楽とミステリー、映画が好きです☆

映画『僕らのごはんは明日で待ってる』

 なんとなくタイトルが印象に残っていて、前から気になっていました。いつか観ようと思ってマイリストに入れていましたが、7月24日配信終了とのことで慌てて試聴することにしました。

 原作は、あいにく読んだことがありませんが……瀬尾まいこさんは大好きです。『卵の緒』『天国はまだ遠く』『強運の持ち主』どれもこころに栄養が行き渡るような話だった気がします。(わたしの記憶力しっかり……!でも、なんだか勇気づけられた気分しか咄嗟に思い出せません。)『幸福な食卓』は、映画を観ました。『僕らのごはんは明日で待ってる』の原作も、近いうちに読んでみたいなって思います。読んでいない他の作品も。

作品紹介

僕らのごはんは明日で待ってる』(ぼくらのごはんはあしたでまってる)は瀬尾まいこによる日本の小説。

映画

2017年1月7日に公開。

キャスト 
スタッフ 

感 想 (と ネタバレ?)

🐾🐾🐾🐾🐾🙀🐱🍗

 なんか良かったです。わたしは好き。

 兄貴を病気で亡くして、高校生になってからは、ほとんど黄昏れて過ごしている葉山亮太(中島裕翔)。体育祭で、実行委員の上村小春(新木優子)と米袋ジャンプに参加することになります。黄昏れてる葉山に頓着せず、関わっていこうとする上村がマイペースで可愛いです。「私は絶対ポカリなんだ。この青いラベル見るだけで、失われた水分とイオンが補給されて、みるみる体力が回復する気がしない?」「……なんとなく分かる」

 でも、葉山の自分語りは「それ長くなる話?」「また今度ね」とバッサリ切っていく。距離が近いんだか、ドライなんだか……でも、そんな距離感がたそがれ葉山には丁度良かったんだろうなって思います。

 図書室で、死んだひとが出てくる話を借りて、読んで……ひと通り読んだら、また最初から借りて、読んで……を繰り返している葉山。そんな葉山に、家にあったからと紙袋いっぱいの「死んだひとが出てくる」小説をプレゼントする上村。たしかにミステリー小説は、どんどんひとが死にますね。たしかに。でも……そっちにいったか……

 上村に感化されて、閉じていた葉山の気持ちも開いていきます。最初は、高校卒業後は就職するつもりでいたのを、上村が進学するので、大学へ進学することを決めます。上村は女子短期大学へ行ったので、一緒の進学先には出来ませんでしたが、なんだかんだ友だちも出来て、大学では自分の居場所を見出すことが出来た葉山。ひとりでタイへ行ったり、上村は上村でひとりオーストラリアへ行ったり、ふたりで近所のデパートへ出かけたり、ケンタッキーへ行ったりします。

 

 兄貴の「明日、食べられなくなるのはお前かもしれない」(うろ覚え)っていうのは、食べられなくなる病気だったのかな。(消化器系の癌とか……?)「どんなときだって、食べなきゃもったいない」「食べろ、飲め」「死は誰にでも来る」だから、どんなときでも、おいしく食べるようにしてるっていうようなことを、葉山くんが言っていて、葉山くんのなかに兄貴は生きているんだなって思いました。誰もが、生きていたひとの何かを抱えながら生きているんだなって。

 

 出てくる食べものがおいしそうです。ケンタッキーのチキンとか、ふわふわのオムライスとか、クリームパンとか、和風な定食とか………。家でケンタッキーを再現しようとするとか、上村が考えることはおもしろいなって思います。きっと誰もが一度は試してみたいと考えるかもしれないけど、実際に試すひとは少数なのでは?!(おもしろい試みではあるけれど、ケンタッキーが食べたいなら、ケンタッキーで買ってくるのが大正解な気がします。)

 葉山からその話を聞いて、自分でも試してみようとする鈴原えみり(美山加恋)ちゃん。なんだか上村に対抗意識を燃やしているのかな……バチバチじゃないですか。素直で可愛い。葉山のことが好きなんだなって。前の彼女が葉山のなかにいることを気づいていながら、駆け引きとかせずに一生懸命で、なんか良いなぁって思いました。最後は別れるけど。きっと、えみりだけを見てくれる優しくて素敵なひとにいつか出会えるよ(知らんけど)という気持ちです。振られて当然ってキャラクターじゃなくて、きちんと魅力的に描かれていて、なんか安心しました。良かったです。

 

 「わたしが泣いているときは、相当よわってるときだから、助けに来てね」(だったかな?) 葉山は、想い出の屋上から据付の双眼鏡で周りを眺めていて、病院の屋上で泣く上村を見つけます。そして、上村の許へと駆け出します。途中、ケンタッキーの前にあるカーネルおじさんを勝手に持ち去って………

 

 なんだかドキドキしながら観てましたが、誰にも咎められることなく、そのあとも普通に過ごしているようだったので、怒られる前にこっそり戻しておいたのか、あとから事情を話すかしたのかな……途中で誰かに声をかけられるとか、咎められるとかしていたら、なんだかもやもやしてしまったかもですが、そういうやりとりがなかったので、そういうものなんだろうなって、謎の説得力がありました。(きっと、なんとかなったんだ!)

 

 最後のキスシーンが好きです。食卓越しって、なかなか新しい……そして、何事もなかったかのように食事に戻る……いや……なんかお互いにフフッて感じなのかな……。これからも、そうやってふたりで食事をしていくんだろうなって感じられて、あたたかくて穏やかな気持ちになれる終わり方だなって思いました。🦋