観たい作品は、たくさんあるはずなのに、「今の気分にピッタリな作品」がなかなか思い浮かばない今日この頃です。配信期日があるからって、すべりこみで鑑賞したはずの作品が普通に配信されていたり……(どういうこと?人気があったから?)(ちょっとよく分からないですよ、Netflix…?)
とはいえ、そういった機会がなければ観ることがなかったかもしれない映画もあるわけで………。結局、どれだけ時間があっても期日間際にじたばたすることになるって、これはもう子どもの頃の夏休みから変わらない趣味みたいなものかもしれません。(……趣味?)(それとも悪いくせ?)
作品紹介
『めがね』は、2007年公開の日本映画。
概要
題名に特別な意味はなく、タイトル決定後に登場人物には全員、「めがね」をかけさせることにしたという。荻上直子の前作『かもめ食堂』から多くのキャスト・スタッフを引き継いでいる。浜辺の宿「ハマダ」を舞台に、都会から来た女性が島の人々と触れ合いの中で落ち着きを取り戻していく。鹿児島県与論島で撮影された。
キャッチコピーは、「何が自由か、知っている。」
登場人物
タエコ 演 - 小林聡美「携帯電話が通じないところに行きたい」という理由で島にやって来た女性。「ハマダ」に宿泊する。
ハルナ 演 - 市川実日子 島の学校の生物教師。島の住人だが、いつも「ハマダ」を訪れては一緒に朝食をとる。
ヨモギ 演 - 加瀬亮 タエコを追って島にやって来た青年。タエコのことを「先生」と呼んでいるが、最後まで関係は明かされない。
ユージ 演 - 光石研 浜辺の民宿「ハマダ」の主人の男性。島外の出身で、サクラのカキ氷がきっかけで移住したらしい。
サクラ 演 - もたいまさこ 毎年春に島を訪れてはカキ氷屋を開き、浜辺で「メルシー体操」なる創作体操を指導する謎めいた中年女性。
森下 演 - 薬師丸ひろ子 島のもう一つの宿泊施設「マリンパレス」の経営者。午前は農作業、午後は勉強に励むという変わったホテルだったため、タエコはすぐに引き払ってしまう。エンドロールでは「めがねの友達」とクレジットされている。
犬のコージ 演 - ケン「ハマダ」で飼われている犬。
スタッフ
(ウィキペディア「めがね(映画)」より抜粋)
感 想
「題名に特別な意味はなく」ってありますけど、題名で気になっていたところはあります。実は、わたしもめがねですし。
主要な登場人物が、みんなめがねをかけているというのも、なかなかありそうで、なかったかもしれません。かけているめがねひとつとっても、キャラクターの個性が現れているようで楽しいです。そのわりに、それぞれの過去や背景が詳しく語られることはありません。ここにいる彼、彼女からの情報だけがすべて。
時間がゆっくり流れて、景色がよくて、暖かそうで、なんだか良いなぁって思いました。海が近いところも素敵です。なんとなく沖縄あたりかと思っていたら、鹿児島の与論島で撮影されているとのこと。島ですか。いいなぁ。島。
小林聡美さん演じるタエコさんは、最初のうちは頑ななところがあります。マイペースというか、頑固というか、意固地というか……。「特別なひとが来るから、みんなで外で食べようと思って……一緒にいかがですか?」(ちょっとうろ覚えですけど、だいたいこんな感じ)ってお誘いを受けても、「いいです。今、おなかすいてないので」って断れてしまうタエコさん。別に好感度は上がりませんが、そのなびかない感じは普通にすごいなって思いました。
わたしだったら、たとえそんなに気分が乗らなくても、「それじゃご一緒させてください」ってなってしまいそうです。せっかく宿のご主人が誘ってくださったんだし、おべんとうはおいしそうだし、ひとりで食べるより誰かが一緒のほうが一層おいしいし。断るにしても、「誘ってくれて、ありがとう」って気持ちは伝えておきたいなぁ。(なにせ、おべんとうがおいしそうですし)
お宿も独特です。朝、起きると、布団の足元に正座したサクラ(もたいまさこ)さんがいて「おはようございます」って挨拶してくれるとか……(いつの間に部屋に入ってきたの?!起き抜けにそれはビックリしてしまいます) 宿泊客ではないけれど、学校の先生をしているハルナ(市川実日子)さんが、よく一緒にごはんを食べに来ているとか……。朝は、浜辺に集まって、みんなでサクラさん指導のもとメルシー体操をするとか……
タエコさんは、そんな独特なつきあいに最初は馴染めず、島にあるもうひとつの宿泊施設へ移動しようとします。気持ちは、分かるような気がします。ほうっておいてほしい時に、かまわれるのはイヤですよね。でも、用意してもらったごはんは、食べなきゃ……
ハルナさんに車で送ってもらって、マリンパレスへたどり着いたタエコさんですが、そちらの雰囲気にはより馴染めなさそうで、荷物を解くまでもなく、ハマダへとんぼ返りしてきます。今度は、重たいスーツケースを転がしながら徒歩で!
疲れすぎてスーツケースのうえに腰かけて休んでいるところへ、サクラさんが自転車で迎えに来てくれます。表情だけで拒否されたのでスーツケースはその場に残して、荷台に乗せてもらって帰ります。さすがにサクラさんのやさしさを拒否できるはずもなく……そのあたりから少しずつ、ほぐれていく感じがします。
みんなで食べる焼肉、良いなぁ。おいしそうです。肉!
昼から飲むビールも、良いなぁ!ゆであがったばかりの、あつあつの大きなエビ、とってもおいしそう!
砂浜でビールも素敵です!たまりませんね!
サクラさんのかき氷も、素朴な甘さがありそうです。すっきりおいしいんだろうな!
「梅は、その日の難のがれ」
出てくる食べものが、とにかくおいしそうでした。
「旅は思いつきで始まりますが、永遠には続かないものですよ」タエコさんを探してハマダへやってきたヨモギ(加瀬亮)さんの登場で、そろそろ旅のおわりが見えてきます。
ヨモギさんがドイツ語で口ずさんでいた詩句が、とても気になりました。(ヨモギさんのオリジナルなのかな???)「何が自由か知っている 道は真っ直ぐ歩きなさい 深い海には近づかないで そんな あなたの言葉を置いてきた 月はどんな道にも光をそそぐ 暗闇に泳ぐ魚たちは宝石のよう ぐうぜんニンゲンと呼ばれてここにいる私 何を恐れていたのか 何と戦ってきたのか そろそろ持ちきれなくなった荷物をおろす頃 もっとチカラを やさしくなるためのチカラを 何が自由か知っている 何が自由か知っている」
自由って、なんでしょうね?
やがて雨が降り出すころに、サクラさんは島から去ります。ヨモギさんも。そして、タエコさんもまた。
でも、更に季節が巡って、サクラさんがふたたび島を訪れるころには、ユージさん・ハルナさん(それから犬のコージ)と一緒に赤いめがね(前のは落としてしまったから)をかけたタエコさんが迎えます。タエコさんもまた、移住したのかな……?