ミオの備忘録

猫と音楽とミステリー、映画が好きです☆

「営繕かるかや怪異譚 その弐」

 こんにちは。

 暑くて溶けそうになりながら、リビングで過ごしている昼下がりです。たまに風が通ると涼しいけれど、風がやむと蒸し暑い。セミの鳴き声が暑さを増加させている気がします。(気のせい)

 たまにベランダからか、思ったよりも近い場所からジジッと鳴き声だか羽音だかが聞こえてビクッとします。おねがい、元気に飛び去って行って!頼みましたよ!

 そんなこんなで、夕方ウチに寄るらしい叔母を待ちながら読書をしています。暑くて、あまり捗らない。それから、おなかもすきました。ぬぅ。

(「営繕かるかや怪異譚 その弐」奥付より抜粋)

感 想 (ネタバレなし?!)

 おもしろかったです。

 窓を開けただけの蒸し暑いリビングで、ぬるくなった麦茶を飲みながら、たまに吹き抜ける風に癒やされながら、読んでいました。が、怖い。

 外は明るくて、陽射しがあって、セミが鳴いていて、うるさいくらいで、そのぶん部屋の中が薄暗くて、ここは大丈夫だけれど、作品世界は………怖い……

 背中を汗が伝うのが、暑さのせいなのか、恐怖のせいなのか………(9割は気温のせい)

 ゾワゾワします。ゾワゾワ。収録作品全6話

 1話目の「芙蓉忌」は、怪異に魅入られてしまった男性の話。営繕屋の尾端(オバナ)さんは登場しますが、控えめです。男性の弟もまた怪異に魅入られ、そして命を落としています。そこにいるはずのない女性の後ろ姿が見えて、聞こえるはずのない三味線の音が聞こえる。彼女の哀しみ、憐れさが伝わってくるようで………

 2話目「関守」怖いです。日本のわらべうたは、なんだか薄暗くて、怖い感じがします。小さな頃は、そんなこと考えずに楽しんでいました。かごめかごめとか。夜明けの晩にって、いつぞや国語の先生が矛盾していると言っていた気がしますが、不思議に思うことすらありませんでした。とある夜が明けて、そして暮れたんだろうなって。だから、いつとは特定できないものの、とある晩ってことなんだろうなって。突き詰めれば違うのかもしれません。鶴と亀が滑るって部分も、長寿だったり、めでたいものであるはずの鶴と亀が縁起でもないって。そこは、それもそうか………と納得した覚えがあります。って、長々と書きましたが、ここで出てくるのは「通りゃんせ」です。(台無し) 最初のほうが怖くて、途中から謎解きというか、ミステリーな雰囲気があって、最後は解決して安心できる。幼い彼女が戻って来ることができて良かったです。

 3話目「まつとし聞かば」悲しい話です。でも、途中の恐怖と、最後の安心感が良い。猫が可哀想なことになるので、オススメはしないけれど、印象深い作品です。尾端さんの営繕した扉で浄化されて、小春のようなものも小春自身も救われたのなら良いなぁって思います。明るい雰囲気で終わっています。

 「魂やどりて」古民家リフォームに凝っている女性の話。怪異以上に、思いつきで頓狂なことをしでかす主人公が危うくて、なんだかイヤな感じです。丁寧な暮らしに憧れるけど、その実は面倒くさがりなファッションDIY。水回りや電気工事を専門業者に頼んだリフォーム仲間をこころの中では下に見ていたり、自分に酔っている節があります。客だからって、家まで商品を運んでくれた道具屋さんに対して横柄に振る舞うところも残念な感じ。怪異に見舞われて、家の古道具を見直して、そして最終的には円満解決。良かったです。(ご近所つきあいは大切にしたほうが良いし、本音と建前って言葉もあるくらい、相手への礼節は大事だと思います………)

 「水の声」水の臭いにつきまとわれている男性の話。ホラーというよりミステリー強めです。怪異よりも恐ろしいのは、生きている人間………

 「まさくに」祖母の家に越してきた小学生の男の子の話。怪異のビジュアルに関しては、作品中いちばんの恐怖感があります。おどろおどろしい。でも、なんだかんだ安心できる終わりかたで良かったです。家族みんなが無事で良かった。まさくにさんも優しいひとで良かった。

 

 怖がって、涼しくなって、今の季節にピッタリです!どの作品も読み終えた後味が悪くないところも良いなぁって思います。尾端さんは拝み屋ではないけれど、誠実な仕事ぶりで困りごとを解決してくれるので、登場するだけで安心できます。

 興味を持たれたかたは是非!

 

 そんなこんなで、今日はこの辺りで。また明日!🐥💓

☆☆☆あなたが笑顔で過ごせる毎日でありますように!☆☆☆