ミオの備忘録

猫と音楽とミステリー、映画が好きです☆

「掌篇歳時記」

 안녕하세요

 アンニョンハセヨ~ (こんにちは)

 アンソロジーや短編集というのも読み始めると楽しいものですね。「1粒で2度おいしい」どころか、いろんな味が楽しめる。クッキーボックス*1のような感じがします!

  • タイトル:掌篇歳時記 春夏
  • 発行年月日:2019年4月22日 第1刷発行
  • 発行所:株式会社 講談社

(「掌篇歳時記 春夏」奥付より抜粋)

  • タイトル:掌篇歳時記 秋冬
  • 発行年月日:2019年10月23日 第1刷発行
  • 発行所:株式会社 講談社

(「掌篇歳時記 秋冬」奥付より抜粋)

掌篇歳時記 春夏

 瀬戸内寂聴先生の小説を読むのは、もしかしたら初めてだったかもしれません。テレビで拝見したり、新聞でお見かけしたり、インタビュー記事を目にすることはありましたが、これまで読んでいなかったのは、手に取るきっかけがなかった………としか。現代語訳された源氏物語は、いつか読んでみたいと思っています。

 小説を読むとき、無意識のうちに、語り手というか主要人物に作者を投影させてしまっていることがある………ということに気づきました※。「麋角解(さわしかのつのおつる)」主人公は喜沙(きさ)。年齢についての記述はなく、容姿についても説明はありません。ただ、年の数ほど引っ越してきて、男の数は、とてもそれには追いつかない。離婚は一度。若い男たちに人気が絶えない。寂聴先生へのパブリックイメージと隔たりがありません。でも「なれたらね、永住するつもりよ。子供も育てたいし」………ん?何歳?!(元気のいい70〜90歳くらいのイメージで読んでいたので、途端に気持ちが迷子になりました。喜沙さん、あなた思ったより若かったのね………?!)

 絲山秋子さんの「雉始雊(きじはじめてなく)」全体的に好きな作品でした。ユーハイムフランクフルタークランツ。わたしにとっては馴染みがないですが、名前自体はよく聞いたことがあります。良いイメージ。そのうち食べてみたいです。あとは、「うちにはシチューやグラタンは白いごはんと合わないと言って騒ぐひとがいるので、鶏を茹でてそのおだしとしめじでごはんを炊きます。海南鶏飯といいます。」うちには騒ぐひとはいませんが、試してみたいです。

 滝口悠生さんの「虹始見(にじはじめてあらわる)」2016年に「死んでいない者」で芥川賞を受賞されたとのこと。それで思い出したのが、NHKの番組で「初めてお葬式に行った時に読む本」として紹介されていた………ような気がするのですが、検索しても出てこないので、よく分かりません。たしか「(もう)死んでいない者=死者」とも読めるし「(まだ)死んでいない者=生者」とも読める………というようなことを誰かが言っていたような………。すごく気になります。読んでみたい。

 長嶋有さん「蛙始鳴(かわずはじめてなく)」髙樹のぶ子さん「蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)」どちらも読みやすくて、好きです。それを言うなら、村田喜代子さんの「雷乃発声」も終わりかたが好きです。

 保坂和志さんの「腐草為螢」は、集中しようとすればするほど、焦点が合わなくなる感じで、よく分かりませんでした。最後の「二〇三高地を生き残って帰ってきた」のくだりで、「ゴールデンカムイ」を思い浮かべました。知識は解像度につながる………と実感。

掌篇歳時記 秋冬

 ※気づき再び。他の作家さんが軒並み表題ページの裏に略歴「19◯◯年◯◯生まれ」「◯◯◯◯年に『◯◯◯◯』で芥川賞を受賞」などと書かれているのに、ひとりだけ「1967年東京都生まれ。」としか書いていない西村賢太さん「乃東枯(なつかれくさかるる)」検索したら、「2011年「苦役列車」で芥川賞受賞。(ウィキペディアより抜粋)」とありましたが、受賞歴を書かないことも含めて作品の一部だったのかもしれません。途中まで、私小説かと思っていたくらいです。「急な依頼」「八枚の随筆」「次の依頼に繫げようと云う下心」ちょうど『文藝春秋』でも『新潮』でもなく講談社です………でも、最後の最後に“藤澤淸造”と署名をしたためる部分まで読んで、ようやく気づきました。(遅)

 文体は読みやすくはなかったけれど、おもしろいと思いました。他の作品も読んでみたいです。

 長野まゆみさん「綿柎開(わたのはなしべひらく)」好きです!語り手は田口木綿。真麻(まお)、木綿(ゆう)、絹十(けんと)の三兄弟もとい姉弟の真ん中。同僚の原島が「古風でもあり、グローバルでもある。合理的な名前だ。」と言っているけど、たしかに。作風によるものだけれど、原島がやたらと格好良く見えます。はい。

てっきりあると思いこんでいたものが突然なくなると、たとえそれが薄汚れた小店のようなものであれ、大袈裟に言えば足もとの地面が堅固なアスファルトからいきなりずぶずぶの泥濘に変わって、軀がぐらりと傾くような崩壊感覚に襲われる。「地始凍」松浦寿輝

ひとつの物語が幕を閉じることは、もしかしたら新しい物語が芽吹くこととどこかでつながっているのかもしれません。冬の終わりが、春のはじまりでもあるように。私たちの生の時間が、めぐる季節の輪の中で息づいているように。「輪のようにめぐる季節のさなかで―二十四節気七十二候について」白井明大

 そんなこんなで、今日はこの辺りで。また明日!🐥💓

☆☆☆あなたが笑顔で過ごせる毎日でありますように!☆☆☆

 

*1:大好き!🐥💓🍪