ミオの備忘録

猫と音楽とミステリー、映画が好きです☆

ドラマスペシャル『人生最高の贈りもの』

 そういえば、マイリストに入れていました。なんとなく気になりつつも、病気とか余命を絡めた感動系は好きじゃないので、タイミングをはかっていたのですが……それって、今じゃない?ということで、観てみました。

作品紹介

『人生最高の贈りもの』(じんせいさいこうのおくりもの)は、テレビ東京新春ドラマスペシャルとして、2021年1月4日に放送されたテレビドラマ。本作の脚本を担当する岡田惠和のオリジナル作品。主演はテレビ東京系ドラマ初主演となる石原さとみ

余命宣告を受け、実家に帰省した長野県安曇野市在住の女性がひとり暮らしの父と長野で暮らす夫、そして周辺の人々との絆を紡ぐことで自らの運命を受け入れるさまを描く。

キャスト 

  • 田渕ゆり子 演 - 石原さとみ 長野県安曇野市に住む女性。余命宣告を受けている。
  • 笹井亮介 演 - 寺尾聰 ゆり子の父で作家・翻訳家。妻を亡くした後はひとり暮らし。
  • 田渕繁行 演 - 向井理 ゆり子の夫で教師。亮介の元教え子。
  • 野村 演 - 勝地涼 亮介の担当編集者。なかなか〆切を守らない亮介に頭を抱えている。
  • 原口光代 演 - キムラ緑子 亮介の近所に住む女性。亮介の妻から亮介のことを頼まれたことを口実にして、ほぼ毎日勝手に家に上がり込んでいる。
  • 田辺正一 演 - 角野卓造 亮介の古い友人。
(ウィキペディア「人生最高の贈りもの」より抜粋)

感 想 (ネタバレも!)

 不器用な父娘が、お互いに不器用なままに、父娘のかけがえのない時間を過ごすという話です。

.....( ・θ・) <ネタバレ!😼🔪🍻🍽️🥘

 誰かが死んでしまう場面で終わってしまうわけではなくて、そこが良いなぁって思いました。なにを描きたいのかがハッキリしている作品なんだなって。

 唐突に娘が帰ってきて、理由も言わずに居座ったりしたら、普通に心配しますよね。しかも、母(妻)の墓で泣いているのを目撃してしまったりしたら、余計に……。

 突然の娘の帰省の理由を知るために、父は内緒で娘の夫に会いに行きます。最初は言い渋った夫ですが、考え直して、場所を自宅へ変えてから、義父へ妻(娘)が余命宣告を受けていることを話します。そんなに仲が良くなかった、父は自分を苦手に思っているはず……妻に先立たれて、さらには娘にも先に逝かれて、ひとり残されてしまう父を心配するゆり子(石原さとみ)。余命とされている時間の半分を父と過ごすことに使いたいと夫に懇願します。そして、残りの半分は、一緒に過ごしてほしいとも。

 結果的には、妻の願いを聞き届けるかたちになった夫・繁行(向井理)さん。理解があるなぁって思いました。それにしても、余命の半分って、後半って、それは元気いっぱいでいられるとは限らないんじゃないかな……大丈夫なのかな……

 そんなこんなで、父にとって夢があるドラマだなって思いました。人生の終わりを目前にした娘が、想い出づくりのために近くに帰って来てくれる。そして、大切な時間を過ごすことができる。……………最高じゃないですか?!

 

 料理が得意になりつつある父。それを、おいしそうに食べる娘。秘密が明かされてからは、父は娘に手伝うように言って、ふたりでキッチンに立ちます。手際の良い娘に、たじたじの父。母(妻)が得意だった煮物の隠し味が娘から父に伝えられたり(ハチミツがポイント!)、ふたりで母(妻)の白和えを再現しようと奮闘したりします。おいしくできたようです。

 

 娘の気がかりを解消しようと、断ろうかと思っていた仕事を一旦 娘に見せてみて「おもしろそう。笹井亮介の訳で読んでみたいと思いました」という言葉で、受けることにします。それから、かつて娘に断られた落語に誘って、ふたりで寄席に行きます。笑いながら、涙を浮かべながら、大切な時間を過ごす父娘。(ちょうどその場面で上演されているのが「藪入り」)

 そして、娘は夫の待つ家に帰ります。帰る前に、父のことを近所に住む原口光代(キムラ緑子)さんに託して……

 娘を見送る父は、かつて言ってあげられなかったエールを、こころからのエールを贈ります。「お前は大丈夫だ!」

 その言葉を胸に、娘は夫とともに、残りの人生をせいいっぱい、力強く生きていきます。

 

 いろんなすれ違いやこころ残りを丁寧にすくって、解消していくところが、とてもスッキリしていて良いなって思いました。それから、ゆり子さんが飲んでいる薬がちゃんと偽薬でした。ちゃんとって言うのもおかしいけれど、ヒートに商品名が印字されていないし、薬にも刻印がない。どんな病気なのか詳しくは話されていないし、だから薬が明らかになってしまったら、病名も明らかになってしまうし……だから、そのあたりはおぼろげにしてあるのかなって。

 最初の場面では、覇気がなく、表情に乏しいゆり子さんが、最後の場面では笑顔がみられて、良かったなって思いました。同じ時間を過ごすのなら、暗い顔で落ち込んで過ごすより、笑顔で楽しく過ごしたほうが、しあわせそうです。🦋