ミオの備忘録

猫と音楽とミステリー、映画が好きです☆

「営繕かるかや怪異譚 その参」

 안녕하세요

 アンニョンハセヨ~ (こんにちは)

 前々作、前作と続けて読んで、ブログで感想をまとめて、サムネイル目的でAmazonのリンクを貼ったところ、たまたま続編の「その参」が出ていることを知り、気になっていました。

 残念ながら、文庫化はまだのようです………

(「営繕かるかや怪異譚 その参」奥付より抜粋)

 今作も、どれも惹き込まれました。

 怪異があり、ひとならざるものが出てきますが、ただただ怖くて仕方ない、不安が募る、生活や命が脅かされる………そういった状況のままでは終わりません。依頼者の知り合いや相談を受けた住職の紹介などから、怪異に慣れている営繕屋の尾端さんに話が届いて、最終的には解決してもらえるので、とても安心感があります。

 ただ、相談を受けることが多く、怪異に慣れているというだけで、尾端さんは幽霊が見えるわけではなく、霊感が強いわけでもなく、拝み屋というわけでもありません。だからこそ、怪異を力ずくで排除するというのとは、また違った解決方法が得られるのかな………と思います。物ごとを曲げるのではなく、あるがままに共存する。困りごとと折り合いをつけていく。

 「火焔」に出てくる姑が、世間一般の姑イメージそのままでした。怖すぎる。性格というか性質というか………歩み寄る余地がない。苛烈で、容赦ない。わたしなら全速力で逃げ出します。無理です。さよなら。でも、この作品に出てくるお嫁さんは逃げない。強いなって思いました。「薬を欲しがるなら、線香をあげるといいですよ」という尾端さんのアドバイスも良いなぁって思います。死んだひとが現世にしがみついているだけでなく、生きているひとが引き留めてしまっているということもあるのかもしれない………

 「歪む家」可愛らしいドールハウスで起こる不可解な現象。合わせ鏡………実に恐ろしいです。魔が差す。ドールハウスで起こる凄惨な事件が、実に恐ろしい………そして、その精密なドールハウスの描写が素敵です。今回は、本当に良くない案件だったらしく、これまで出てこなかった封魔的なアイテムが使われます!

 「誰が袖」家に代々置いてあった桐の箪笥。引っ越しを期に新居へ持ってきて、リフォームを施すなか起こる様々な怪異。ここでも線香が活躍です。魔は線香を嫌うとか。なるほど。

 「骸の浜」海で死んだひとの骸がどこへ流れ着くのかが分かる家。海辺近くにある、その荒屋(あばらや)には、近隣の海岸線を模した庭が設えられていて、どこに幽霊があらわれるかで、遺体の場所が分かります。近所の住民に忌避され、悲しい子ども時代を過ごして、家は雨風を防げるだけの場所でしかなかった(ひとりぼっちの)彼女が、家を修繕してもらえる――誰かに手を差し伸べてもらえた――ことで、自分から見つけてもらいたがっている骸を探してあげようとする。

 気持ちの変化が、爽やかだなって思いました。

 「茨姫」母親の偏愛によって、関係がこじれていった姉妹。茨に覆われた廃屋………かつて自死があった場所……天井から白い布とそこから垂れ下がった日本の足が見える……怖さしかないです。でも、茨の選定を頼まれた造園業者・堂原さんが尾端さんを連れて来て、詳しく事情を話したわけでもないのに、そこにいるものに対して、温かく思いやりのある提案をしてくれる。

 間に合わなかったけれど、姉妹が仲良く過ごせるようになれば良いなぁって思います。

 そんなこんなで、今日はこの辺りで。また明日!🐥💓

☆☆☆あなたが笑顔で過ごせる毎日でありますように!☆☆☆