ミオの備忘録

猫と音楽とミステリー、映画が好きです☆

菩提樹荘の殺人

有栖川有栖先生の名探偵 臨床犯罪学者・火村英生が活躍するシリーズ。4編が収録されています。

1月~3月に「臨床犯罪学者 火村英生の推理」として実写ドラマ化されましたが、わたしは原作・ドラマどちらも大好きです。(DVD/BD BOXが発売されましたので、興味のあるかたは是非♪) ひとが演じる説得力なのか、観ていて、そっか実際にいたらアリスや火村はこういうキャラクターなんだなって。ドラマを観てからは、作品を読みながらアリスと火村が俳優さんで脳内再生されるのが楽しいです。

菩提樹荘の殺人』単行本 文藝春秋 2013年〈アポロンのナイフ/雛人形を笑え/探偵、青の時代/菩提樹荘の殺人〉

例によって、ネタバレや謎解き部分に触れるのは避けつつ、感想を書いてみます。

ドラマ化していない「雛人形を笑え」火村とアリスのかけあい漫才が楽しかったです。つきあいの長さと、気が合ってる感じが伝わる。こういうのをドラマでも観たいなって思うけど、活字ではおもしろくても、こう「狙わずに笑わせる」っていうのは映像的にはむずかしいのかな。

アポロンのナイフ」は、ドラマ8話の原作。でも、アポロンの影はドラマの最初の方から見え隠れします。原作では、最後までアリスはアポロンの顔を知らないことになってます。

「探偵、青の時代」は、another story 第1話。原作では学生時代の知人が語る火村のエピソードが、ドラマではアリス自身の体験談として時絵さんに語られます。原作のほうが登場人物が多いなど多少の違いはあれど、どちらもアリスの火村をわかってる感がいいなぁって思いました。とくに、猫のところとか。ドラマでは、「猫と雨と助教授と」(『ペルシャ猫の謎』収録)のエピソードもちらりと入ってます。「菩提樹荘の殺人」で描かれるアリスと火村の出会いの場面もこちらに……。

菩提樹荘の殺人」は、事件そのものはドラマ化していないけれど、アリスが火村に語った小説を書くきっかけとなったほろ苦いエピソードはドラマ第4話に出てきます。

あとがきに「火村・アリスのコンビはある時点から齢をとらなくなり、いつも三十四歳で登場する。いわゆるサザエさん方式で、」とあって、謎の一端が解けた思いがしました。そう、それだ!みたいな。