ミオの備忘録

猫と音楽とミステリー、映画が好きです☆

映画『屍人荘の殺人』

 映画館に観に行きました。一時期の本屋さんは、原作が平積みしてあって、大々的なキャンペーンをおこなっていて、とにかく「おもしろいから読んでみて!」という圧を感じました。圧力……というか、熱量というか、情熱というか……おもしろいものを共有したいっていう強い想い。

 この波には乗るしかないでしょう!

 ということで、原作を買って、冒頭を読んで、実写映画を観たときに「まちがいさがし」になってしまうのもイヤだなと思って、しばらくおあずけにして、映画を観て、その感想を自分のなかで噛み砕いてから読むことにしました。(そして読みました)

 好きです!映画も原作も!

 その頃には、このブログを始めていたので、きっと感想をあげているだろうな……と思いきや、なにも書いていませんでした。(どうした?わたし?) 探したら、他の媒体では感想を残していたので、こちらにも「過去の自分の感想」と「自分自身の記憶」を突き合わせて、まとめてみます。(多分、公開されたばかりの時期だったので、ネタバレに対する配慮があったのだと思われます)

 

 観たことがあるひとは、わたしとこころのなかで握手!

 まだのひとは、観てみてね!

 

もうなにもかもがネタバレです!

 わたしは、誰か「まだ観ていないひと」と一緒だったら、もういちど観たいなって思います。それか、「観たことがあったとしても、もういちど一緒に観てくれるひと」がいたら観たいな。

 すごく好きな作品ですが、ちょっとだけ再見のハードルが高いのです。『鬼滅の刃 無限列車編』とか『キングスマン:ゴールデン・サークル』と同じ記憶の箱に入れています。

 ………もうおわかりですね? では、どうぞ!↓↓↓(例によって例のごとく、「あふぃりえいと」とは無縁なので、安心してください)(そこに安心要素が見いだせるかは不明ですが……)

 

作品紹介

『屍人荘の殺人』(しじんそうのさつじん)は、今村昌弘による日本の小説。第27回鮎川哲也賞受賞作品。第18回本格ミステリ大賞受賞など、国内ミステリーランキング4冠を達成(#概要参照)。表紙絵は、遠田志帆が担当。

大学の映画研究会の夏合宿において、合宿先のペンション・紫湛荘(しじんそう)で起きた連続殺人事件に遭遇したミステリー愛好会のメンバーが生き残りを懸けて真相を追うさまを描く。

映画

2019年12月13日より全国公開。監督は木村ひさし、主演は神木隆之介。合宿を行うサークルが異なる(原作:映画研究会、映画:ロックフェス研究会)など、原作とは設定の違いがある。

キャスト 
スタッフ 
  • 原作:今村昌弘『屍人荘の殺人』(東京創元社刊)
  • 監督:木村ひさし
  • 脚本:蒔田光治
  • 音楽:Tangerine House
  • 主題歌:Perfume「再生」 (UNIVERSAL MUSIC)
  • 製作:市川南
  • 共同製作:千葉伸大、大西繁、弓矢政法、宮崎伸夫、広田勝己、森田圭、舛田淳、長谷川晋一、吉川英作、渡辺章仁、永田勝美、田中祐介
  • エグゼクティブプロデューサー:山内章弘
  • プロデューサー:臼井真之介
  • ラインプロデューサー:山本礼二
  • 監督補:八木一介
  • 撮影:葛西誉仁
  • 美術:林田裕至、佐久嶋依里
  • 照明:鈴木康介
  • 装飾:高畠一朗
  • セットデザイン:郡司英雄
  • 録音:西正義
  • VFXスーパーバイザー:小坂一順
  • ヘアメイク:内城千栄子
  • スタイリスト:望月恵
  • 記録:河野ひでみ
  • 編集:富永孝
  • 音響効果:松井謙典
  • 選曲:稲川壮
  • キャスティング:田端利江
  • 助監督:日高貴士
  • 制作担当:道上巧矢
  • プロダクション統括:佐藤毅
  • 配給:東宝
  • 製作プロダクション:東宝映画、ドラゴンフライエンタテインメント
  • 製作:「屍人荘の殺人」製作委員会(東宝アミューズ博報堂ジェイアール東日本企画朝日新聞社毎日新聞社KDDI、LINE、東京創元社、日本出版販売、ローソンエンタテインメント、NTTぷららGYAO
ロケ地 
  • 熱海・姫の沢公園 姫の沢自然の家 - 紫湛荘の外観は、3DCGで制作されて合成されている。
(ウィキペディア「屍人荘の殺人」より抜粋)

感 想 (ネタバレしてしまうかも?)

 おもしろかったです!

 あとから原作を読んで思うのは、必ずしも原作通りにすべてのエピソードを拾っているわけではないんだなって。でも、映画は映画として成立していて、119分っていう丁度いい長さで、良いなぁって思いました。

 原作だと、映画研究会の面々が合宿のため紫湛荘に滞在し、バーベキューをしたり、肝試しをしたり、その最中に事件というか災難に見舞われます。映画では、ロックフェス研究会で長野県婆可安湖(サベア湖)で開催されるサベアロックフェスに参加中に例のアレに巻き込まれ、命からがら自分たちの滞在先である紫湛荘に戻ってきます。行きがかりで、研究会所属ではないひとたちが何人か一緒に籠城することになります。

 良い変更だと思いました。読んで楽しいのと、観て分かりやすいっていうのは、やっぱり違います。登場人物が限られると、そのなかの誰か、加えて被害者との接点があるひとが犯人ってことになります。でも、見ず知らずの人たちが加わると、接点のあるなしに関わらず、もう全員が怪しいです。そして、外は外で危険なので、逃げ場がありません。残された人たちにも、犯人にも。

 映画は「ミステリー(学園)→ミステリー→パニック→ミステリー→(サスペンス)ゾンビ→ゾンビ→ゾンビ→ミステリー→ミステリー(解決編)→ミステリー(終幕)→と思わせてホラー→ミステリー」という流れだったみたいです。ライトなゾンビミステリー映画。(わたしメモ)

 明智(中村倫也)さんが、大好きです。映画では、小説以上に頼りないというか、(大丈夫かな、このひと)っていう不安がありますが、咄嗟に他人を助けようとすることができるのは美点というか、キャラクターをよく表しているように思いました。近くにいるひとは彼の思いつきに振り回されるだろうけど、でも何故か憎めない。むしろ、好きになってしまう探偵さんです。

 ミステリー小説が好きすぎて、事件が起こる前から「もし、この合宿中に事件が起きたら犯人が誰か分かった」と言ってしまうような不謹慎すぎる発言もありますが(……そういうとこですよ?)、でもある意味それは慧眼だったわけで……

 葉村譲(神木隆之介)くんも良かったです。過去の自分も「ゆずるくん、イイ子だ。迷宮太郎。犯人があたらない助手……ってある意味完璧じゃ…」「ゆずるくんもやたら可愛そうカッコいい」などと書き残していて、気が合いますね。コミカルで、普通に変態というかお調子者な場面でも気持ち悪くならないのは、ひとえに「顔の良さ」だと思います。絶妙。

 それから、剣崎比留子(浜辺美波)がやたらと可愛いです!

 

 小説だと(パラレルワールドという可能性はあるけれど)確実に2011年以降の出来事であるという描写が出てきますが、映画では割愛されています。そこに触れると、たぶん映画の尺では収まらなくなってしまうからかなって思いました。

 それから、小説ではそんなに嫌いじゃなくて、むしろちょっと好意的にさえ捉えているキャラクター下松 孝子さんですが、映画では正反対の印象を持ちました。かなり理不尽な理由だというのは、もちろん自覚しています。というのも、当時 やたらと難癖をつけて絡んできたクレーマーに似ていたからです。それだけ。ゾンビに襲われているのを観て、痛ましいと思うよりも「ざまぁw」と思ってしまいました。(←人でなしな感想だったことは自覚しています) でも、あの下松(仮)クレーマーからは、理不尽すぎる言葉の暴力に晒され続けていたから……無理もありませんね。ご意見のある方には耳を傾けようと思いますが、先刻言ったことがすぐに変わるような、相手の時間を浪費させることとカネ目的のクレーマーに対してはタヒね、というより生き地獄を味わったら良いと思います。なので、ものすごく溜飲が下がりました。映画のなかでは、お亡くなりあそばしたので、現実世界でもやさしく対応できるかと思います。あれはゾンビなので、言葉が通じなくても仕方ありません。(っていうか、クレーマーに顔が似ていて、だから彼女が嫌いって。ひとを見た目で判断してしまったということで……なんだか、あとあと地味にブーメランというかくらった感がありました)(外見が似ていても、内面まで似ているとは限らないのに……まぁでも、好きになる必要もないですね。そのあたりの好き嫌いは、実生活では表明しないで曖昧にしておくのが賢明かと思われます……)

 ゾンビ映画は、そんなに数を観ていない(どころか全く観ていない)ので、大きな主語で語ることはできませんが、倫理観がどこかへいってしまうというか、シュールな絵面のはずなのに、どこか仕方ないというか。殺意はないはずのところに、殺人事件が起こってしまうというか。もう、なんでもありだなって感じでした。

 仕方ないから、自分たちが助かるためにとどめをさせるか。仕方ないけど、ついさっきまで自分たちと同じように生きていたひとを手にかけることができないか。ギリギリのラインで、そのひとの本性というか倫理観が丸裸にされそうです。わたしは、どれだけ綺麗事を並べていても、いざゾンビを前にしたら、迷うことなくとどめをさせる派だと思いました。臆病なので。恐怖は、何よりも強くひとを動かします。世のなか暴力面で強いのは、強さを誇示するひとではなくて、暴力におびえて怖がるひとだと思います。(ゾンビ化してしまったひとたちを、なんとか助けてあげようって発想には至りませんでした……反省…)

 

 最終的に手許に残る感想が、なんてことだ……です。

 犯人は、それで良かったの?満足できたの?助けられたはずのあなたが、そんなことをしてしまって、助けたあのひとの想いは、どうなるの?……本当に、なにも残らない。テロ集団なひとたちも、何がしたかったんだ?というか、コレが本当にやりたかったことなの?これで、良いの?成功なの?

 ミステリーは、割とよく殺したり殺されたりしますが、あと味としてこれほど「人を殺してはいけない」と思わせる作品もないのかなって思いました。殺人に正当性なんてないです。ダメなものは、ダメ。誰かのためになんて、もっとダメ。どうしてもやるなら、自分のためと言うべきです。でも、ダメ。

 そして、やっぱり無事だったんですね!無理かもしれない状況だったけど、きっと知略で切り抜けることができたんだ!……からの絶望…(やっぱり無事じゃなかったんだ……!)

 大切なひとを亡くす喪失感がひどいです。

 比留子が、最初から最後まで可愛いところが救いです。🦋

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 主題歌、大好きです。再生 再生 再生成♪

 ゾンビは、ひとを追いかける性質があり、ひとを襲います。弱点は頭部。噛まれると、ゾンビ化してしまいます。……それって、感染症じゃ……。ゾンビは怖いですけど、目に見えます。噛まれたり、攻撃されたりが感染経路なゾンビに比べて、目に見えない空気感染のほうが、格段にヤバいのは明白ですね!