ミオの備忘録

猫と音楽とミステリー、映画が好きです☆

映画『空に住む』

 なんとなく気になっていました。

 三代目JSBの楽曲『空に住む』とセットで発売された小竹正人さんの小説『空に住む』が原作。多部未華子さん主演で、三代目JSBの岩田剛典さんも出演しています。

作品紹介

「空に住む〜Living in your sky〜」(そらにすむ リビング・イン・ユア・スカイ)は、日本の音楽グループ、三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBEの楽曲。2013年6月1日に講談社から小説『空に住む』(小竹正人著)とセットで発売。

映画

2020年10月23日に公開。監督は青山真治、主演は多部未華子

キャスト 

スタッフ 

(ウィキペディア「空に住む〜Living in your sky〜」より抜粋)

 

 とりあえず、今現在、ネコとかイヌとか人間よりも寿命の短い、大切な家族がいるかたにはオススメしない……かな。

 

感 想 (ネタバレも!)

 なんか……お金持ちの親戚、うらやましいです。なんだか品のない感じがしますが、それくらいかなぁ。

 

 直実(多部未華子)は両親を交通事故で亡くし、ネコとふたり叔父夫婦の住むマンションへ引っ越します。新しい住まいは叔父が用意してくれており、家賃も叔父が支払っています。(というよりマンションだから持ち家なのかな?)(叔父さまは「投資」って言い方をしていましたね。だから、姪っ子の直実は管理人のつもりで住んでいてくれれば良いからって)

 タワーマンションの高層階って、なんだか楽しそうですね。空が近い。本来なら、ワクワクする引っ越しのはずなのに、リビングに位牌が並んでいるのが悲しいです。

 叔母の明日子(美村里江)さんも、すごく可愛いです。多少、過干渉な面もあるけれど、なんだか直実のことを気にかけていて、優しいなって思いました。個性の強そうな叔父さんの妻だから、たぶん自分の意見を曲げない強さとか、良かれと思っていろいろやってあげるとか、そういう性質がもともとあるんじゃないかな……

 突然すぎる不幸だと、なんというか過ぎていく状況に気持ちが追いつかないってこと、あると思います。泣かない、泣けないのは、別に冷たいとか感情がないとか、そういうことではないですよ? たぶん。大きすぎる衝撃に、なんとか折り合いをつけるには、気持ちのどこかをオフにしておく必要があったのでは……? 現実を受けいれるのを、少しだけ拒否している……というか。

 

 タワーマンションに住んでいて、お金を出してくれて気にかけてくれるような優しい叔父・叔母がいて、可愛いネコがいて、打ち込める仕事があって……両親を亡くしてしまったことを除けば、完璧ですね!

 

 あらすじの続きは、エレベーターでぐうぜん乗り合わせたのをきっかけに、モデルで俳優の時戸森則(岩田剛典)に出会います。ぐうぜんが重なるうちに、花束をもらったり、家でオムライスを作ってあげたり、たくさんもらったというサクランボを差し入れられたり、キスしたり、身体を重ねたりするようになります。そこに愛があるかは微妙だけれど、なにかしら互いに共鳴するものがあったのでしょうか………

 同僚は、結婚式間近にして、元担当作家で妻子あるひとの子どもを身籠っていて、産むつもりだとか……

 その作家・吉田理(大森南朋)の次回作について、単行本で出版したいという本人の想いをくんで、社長を説得する担当編集者・柏木(髙橋洋)さんとか……

 直実のネコ・ハルが病気にかかって、しばらく闘病するとか……

 獣医さんに診てもらったり、処方してもらった薬を飲ませたり、いろいろ手を尽くすけれど、それでも亡くなってしまうとか……

 それと前後して、時戸とは気まずくなり、叔母には当たってしまう……(甘えているのかな…? それまでの違和感が積み重なった結果だとは思うけれど、家族として受けいれてくれているひと相手に「所詮は他人」って言っていいことと悪いことがあるのでは? 血縁関係のなさを言いたいにしても、なんかひどいなって。他人なら余計に、口に出せない、出すべきではないひと言ってあるんじゃないのかな……)

 

 いろいろあるけど、破水した同僚をなんとか病院に行かせて無事に出産し、ペットの葬儀屋に頼んで きちんとハルを見送って、時戸にはインタビューをおこなって人気作家である吉田先生にドキュメンタリー作品を仕上げてもらうという企画を立て、その企画が動き始めている。前向きな感じで終わっています。

 仲直りの描写はないのに、叔父と叔母がイタズラでも思いついたような顔で直実の家に突撃していて、わたしが見落としたのか、直実のやつあたりがなかったことにされているのか、直実の気持ちもよく分かるよってことで許されているのか……気持ちが迷子になりそうでした。とにかく、いろんな問題は片づいたっぽいから、良かったのかな? ようやく、直実は泣くことができたのかな?

 

 直実のお父さんが言っていたという「記録 それはいつもはかない」っていうのが、なんかこころに残りました。

 

 最後あたりで、一旦はクローゼットに仕舞われてしまった位牌が、ハルの骨壷と一緒にリビングの定位置にあって、ようやく現実を受けいれることができたのかなって感じがしました。

 

 って、長々と書いてきましたが、よく分からなかったです!(原作を読んで予習しておくべきでした???) わたしの読解力不足は否めないですが、なんというか難しかったです。たぶん、ひととの距離感とかつきあい方とか、そういう根本的なところが、わたしとは違うんだろうなって思いました。.....🦋

 

 エンドロールで松本憲人(xxxx〜2020)とあって、どういうこと?って思ったら、この作品を手がけた照明技師さんがお亡くなりになったとか……。彼は、映画『窮鼠はチーズの夢を見る』でも照明を手がけてみえたとのこと。

 なんとなく、どう映るかに関わる領域はすべて監督のものだと思っていましたが、ちゃんと専門家が担当しているんですね。これからは、しばらく気にするようになると思います。たぶん。

 

 せっかくなので主題歌のMVを貼っておこうかと思ったら、公式では見つからず……その代わり映画のトレーラーが引っかかりました。そのナレーション「未来へ歩き出す女性たちへ、エールを贈る物語」………エール……?

 なんとなく主題歌の歌詞を見返して、これはハル目線ってことなのかなって思いました。それなら、なんとなく分かる気がします。この空に僕はいる、いつだって愛してる。大切なにゃんこにそう言ってもらえるなら、喪った悲しみがほんの少しはいやされるような気がします。