こんばんは。お疲れさまです。
しばらく読書から遠ざかっていましたが、先日「元彼の遺言状」を読み終えたのをきっかけに、積読を崩しにかかっているわたしです。通常勤務に戻りましたし。スマホの電池がすぐになくなってしまうので、出先ではピクミン以外で遊ぶ余裕がなさそうですし*1。旅先に持って行こうと、選び抜いた珠玉の1冊がここにありますし*2。
そうです。わたしが、今回の旅のお供に任命したのはコチラ!
井上真偽「恋と禁忌の述語論理」
「絶対におもしろい」という確信があって購入したのですが、期待に違わず、むしろ期待を越えてくれる作品でした。すっごくおもしろかったです!
開始早々に、数学で習った気がする「∧(かつ)」「∨(または)」それに加えて「⇒(ならば)」「¬(否定)」が使われた「論理式の充足問題」というのが出てきて「……………うん?(ちょっと、わたしには理解できないジャンルだったかな?)」と戸惑ったのですが、理系とはいえほぼ読者と同じくらいの理解度な語り手:森帖詠彦(モリジョウ エイヒコ)くんのおかげで、分からないながらも楽しく読み進めることができました。
そういえば、こちらの作品は第51回メフィスト賞を受賞しており、井上真偽さんのデビュー作とのこと。
デビュー作?!*3
レッスンⅠ「スターアニスと命題論理」・レッスンⅡ「クロスノットと述語論理」・レッスンⅢ「トリプレッツと様相論理」と進んで、最後は 進級試験「恋と禁忌の……?」各章に名探偵が登場します。なかでも、レッスンⅢに出てくるのは“奇蹟を希求する探偵”上苙丞さん。『その可能性はすでに考えた』で活躍している名探偵ではないですか!
なんだか「知ってるひとが出てきた!」みたいな気持ちで、楽しくなってしまいました。(でも、わたしの知る彼よりも……なんだかちょっぴりうっかりさん?!) それから、謎解きの感じも好き。わたしは、こういうのが好きです!
それにしても、わたしは作品を読む前から「どこかに上苙さんが出てくる」って知っていた気がするのですが……なんでだろう? 帯に書いてあるわけでもないし、まさかあらすじに?! と思ったら、そのまさかでした。
この作品では、名探偵の推理を検証する「天才美人学者・硯」さんが登場します。いわば真打ちって感じですね。個性豊かな名探偵の面々に負けないくらいの、魅力にあふれた叔母さん……おねえさん……です。天才的で、仕事もできて、資産は充分、女子力は低め、野菜を作れて、古民家に住む、いくつか別邸を持ち、ニワトリが苦手で、甘いものが好き、冷凍庫にはスイカバー、ときにハーゲンダッツ、年齢不詳の美貌を誇る森帖くんの母の妹。つまりは叔母。興味を持たれたかたは、是非!
この文庫の表紙も好きなんです。いろんなアイテムで女性のシルエットが表現されていますが、よく見ると話に出てきたアレコレ。たとえば、中央でひときわ目をひくスターアニスだったり、右下あたり靴底の見えるスニーカー、結び方はちょっとよく分からないネクタイ、パスタのお皿*4に、スイカバー、本物のスイカも!
これは、何度読んでも楽しい作品だと思います。
ストーリーに触れたり、ネタバレしなくても語れるものですね。あとは、自分の覚書がてら、もう少し………
この作品には、わたしにとってのいろんな「知らなかった」が詰まっていて、とても楽しいです。なんだか、読んだ直後からしばらくは論理学かぶれになってしまったくらい。いろんな言い回しを、ついつい論理学ならどう表現するのかなって考えたくなります。(そこまでブームは続かなかったけれど……)(そんななか書いたブログにどれほど片鱗が見つかるか、ちょっとドキドキしてしまいます。文体が寄ってしまったり……してるかな。どうかな。)
レッスンⅢが好みって話はしましたが、そこに出てきた『チェーホフの銃』という言葉:「もし第一章で壁にライフルが掛けてあると述べたなら、第二章か第三章でそれは必ず発砲されなければならない」使わない伏線は張ってはいけないという『伏線回収』の掟だそうです。………ワクワクしますね!
「凛、と風鈴が鳴った。」
この文章を読むときのテンションというか、気持ちというか、そういう何かが明らかに変化している。そういうところも、すごく良い体験だなって思いました。そう、読書は経験です!
そんなこんなで、今日はこの辺りで。また明日!🐥💓