ミオの備忘録

猫と音楽とミステリー、映画が好きです☆

「兇人邸の殺人」

 こんばんは。お疲れさまです。

 映画にもなった大人気ミステリ作品「屍人荘の殺人」続編の「魔眼の匣の殺人」に続く「屍人荘の殺人」シリーズ第3作。前から気になっていたのを、ようやく読了しました!

 うっかりネタバレを口走ってしまうといけないので(……そのつもりはなくとも感想そのものがネタバレになる可能性もなきにしもあらず…です)、興味のあるかた、ミステリーがお好きなかたは、読んだあとで感想を語り合いましょう!もう読みましたよ、というかたは、そのままお進みください。

  • タイトル∶兇人邸の殺人 Murders in the Prison of the Lunatic
  • 著者∶今村昌弘
  • 出版日∶2021年7月30日 初版
  • 出版社∶東京創元社

 遠田 志帆さんの表紙絵も大好きです!雰囲気があってステキ!(どこかで目にしていると思って検索したら、綾辻行人先生の「Another」相沢沙呼先生の「medium 霊媒探偵城塚翡翠」でも装画を担当されているんですね。そちらも読んでみたいです!)

感想とネタバレと...

 読み始めから、めちゃくちゃ怖いです。廃墟となったかつての遊園地を活用したテーマパーク「ドリームシティ」そこにあるとされるのは、班目機関・元研究者 不木玄助の研究資料。それを探し求める成島グループ・成島 陶次に請われて、神紅大学ミステリ愛好会の剣崎 比留子と葉村 譲は、成島の雇った傭兵グループと共にテーマパーク内の屋敷「兇人邸」へと潜入します。

 名探偵・剣崎 比留子。彼女の周りでは何かが起こる。そんな事件を呼ぶ特異体質を買われての抜擢です。ミステリ愛好会・会長の葉村 譲は、比留子にとってのワトソン役として、一緒についていくことになります。

 冒頭は、ミステリ愛好会会員の清楚な美少女・剣崎 比留子めあてにミステリ愛好会への入会を希望した友人2人と葉村との本格推理対決から始まります。友人たちも健闘しますが(方向性は合っていたし、イイ線いってた)、残念ながら敗れます。ヒントは、葉村の出題文のなかに……「踏んだり蹴ったり」

 ………なるほどな……。それはそうとして、葉村くんに学部内の友だちがいて、仲良さそうにしていて、なんというか安心しました。ほのぼのします。楽しく学生生活を過ごしてほしいです。

 そのあとは、いよいよ兇人邸への潜入!

 怖いよぉ!

 誰かの追憶と、現在の状況と、葉村くんの語りと、もうひとりの語りとで話が進んでいきます。先にカバー(そで)のあらすじを読んでいて、そのせいでドキドキしながら読み進めていたはずなのに、肝心な部分を読み飛ばしたみたいです。(あるいは記憶から滑り落ちた) 途中で「あれ?」と思って、読み直して納得しました。熟練の傭兵を凌駕する大斧を手にした隻腕の巨人。その存在こそが、班目機関の研究成果だったのです。(ちなみに身体能力に優れ、治癒力も高く、銃弾が効きません。視線が合ってしまえば、生きてはいられない……) ヒトでした。意思の疎通ができないという点では野生動物と変わらないけれど、ヒトだ………。

 怖いんだけど、怖くない。ウソ、やっぱり怖いです。

 兇行が、人力によるものだったとは………

 ずっと兇人邸のシステムによるものだと思っていたので(なんらかの思い込みあるいは先入観)、柵が落ちてくるとか、どこかの壁に刃物が仕込まれているとか、なんなら吊るした刃が落ちてくるとか、そういうのを想像していました。

 巨人に会えば、問答無用で殺されてしまいます。

 朝になるまで、隠れるしかない。朝になれば、巨人は別館へ帰っていきます。そのあとは、こちらへは出てこられない。

 怖いよぉ。見つかれば殺されるって、かくれんぼにしてはヘビーすぎるでしょ?! すごく力が入るし、ずっと眠れない感じ。葉村くんたちは、最終的には2徹してるようなものなので、なんだか読みながら同じくらいの疲労感を感じてしまいました。

 それから、いろんな部分で「なんとなく」「こうなんじゃないかな」を発揮してしまって、事実が明らかになるごとに新鮮な驚きがありました。角度を変えたら見え方が変わるみたいな。どのあたりで幻惑されたかと言えば、コウタが不木先生にそそのかされたんじゃないかと思われるところ、途中でジョウジのほうだったのか……ってなるところ(さらに、その先がありましたね)、ナルコレプシーの発作、剛力さんという名字(今思えばこじつけです)、女性であること、年齢よりも老けて見えること。繋げてはいけない部分を繋げてしまうと、真実から遠ざかってしまいます。

 

 そんなこんなで、おもしろかったですね!

 わたしの推しは、有能な秘書です。

 

 葉村くんが、ようやく比留子さんのワトソンとして、力が及ばずとも隣を歩き続けると決意したと思われる今作。葉村くんがスマホを取りに行かなかったら、作戦は成功しなかったわけで……良かったなって思いました。そして、最後の最後に登場したのが重元さん。………誰?! (検索したら「屍人荘の殺人」に出てきた映研の部員。生死不明だったはずでは? 生きていたの?!)

 ものすごく自然な感じで、まだまだシリーズとして続いていきそうですね。班目機関についても謎が多いですし……楽しみです。

 

 ついつい長く語ってしまいました。

 そんなこんなで、今日はこの辺りで。また明日!🐥💓