ミオの備忘録

猫と音楽とミステリー、映画が好きです☆

「去年の雪」

 안녕하세요

 アンニョンハセヨ~ (こんにちは)

 待ち遠しく思っているときは、なかなか新しい作品が発表されなくて、他に気持ちが移っていると、いつの間にか何冊か発行されている………そういうことが、たまにあります。

 前は、そんなことなかったはずです。興味が移ろっても、ちゃんとタイムリーに察することが出来たはずなのに。わたしの出版に関する主な情報源は、本屋さんと図書館なので、単行本で出版されたときに平積みされているのを見つけないと(つまりタイミングがうまく合わないと)、気づけないのかもしれません。

(「去年の雪」奥付より抜粋)

感 想 (ネタバレも?!)

 書き出しが印象深いです。

 事故はあっというまに起き、制御不能で、どこを打ちどこが切れどこが折れたのか、皮膚がどうなり眼球がどうなりどの内臓が破裂したのか、頭ではもちろん身体感覚としてもわからなかった。

 とてもリアルに伝わってきます。わたしは生きていて、死んだことも、死にそうになったこともないけれど、たしかに死んでしまう瞬間というのはこうなのではないかという仮想体験のような。とにかく暴力的で唐突で避けようのない出来事で、しかも一瞬のうちに過ぎ去ってしまった。

 そこから始まった物語は、でもすぐに視点を変えて、次々と別の登場人物の人生を切り取っていきます。人生というか、生活というか、日常というか………公式サイトによれば「100人を超える”彼ら”の日常は、時代も場所も生死の境界をも飛び越えて、ゆるやかに繋がっていく。」

 時代が現代だったり、少し前の時代だったり、かなり前の時代だったり、羽根が部分的に緋色に染まったカラスが時代を超えて登場するように思えるけれど、それが同じカラスなのかは分かりません。たまたま似たような境遇のカラスが何羽かいるのかも………あるいは同じカラスが時を超えているのかも……。聞こえるひとには聞こえる、過去からや未来からの声。死んでしまったあとも、そこに「いる」ということ。その存在感。

 最初のうちは登場人物たちの関係性を把握しようと思っていましたが、早々に諦めました。現実の日常生活でも、ひとの名前と顔を覚えるのが苦手なのに、フィクションで得意になるはずもなかった………似たような音の名前のひとも出てくるので、もう誰が誰だか……です。でも、「しっかり分かろう」と意気込むよりも、「大体で良いかな」と開き直ったほうが、分かる感じがしたような気がします。あぁ、このひとは彼女の妹で、あのひとの弟のことが好きなんだろうな………。

 興味を持たれたかたは、是非!

 

 せっかく自分と同じ名前のキャラクターがいたのに(漢字は違うけど音が同じで少しうれしかったです。なにせ100人も出てくるので、そういうこともありますよね……)、あまり共感できる人物でなかったのは残念でした。わたしは、もっと強いと思うけれど、ある意味では彼女ほど強くない。鈍感そうに振る舞っておいて、鋭く突き刺すような………そんなことはしませんよ。牙は最初から隠さない。

 例によって、気になったものや心惹かれる一節を引用していきます。わたしの覚書きとして。

  • 琵琶の(おそらく)曲名 “うぐいすと皇帝”
  • ストリーボッグ作曲 “すみれ” 「Streabbog(ストリーボッグ)という筆名は、本名のGobbaerts(ゴバールツ)を逆から書いたものです。」
  • スージー・アンド・ポーリー∶耳にしたことはあるけれど、実際に遊んだ覚えはなく、だからどういう遊びなのかも具体的には分からない。ので、検索してみました。江國香織さん作の『流しのしたの骨』に出てくる、子どもたちの遊び。積み木やブロック、マッチ箱、おはじき、ハンカチ、ミニチュアの汽車、木製の小さな動物たちなんかを使って、一つの町を作ります。
  • 空の水色とタンポポの黄色∶スージー・アンド・ポーリーで使う人形のスージーのドレスと髪の色

 人は、どうして何かしなくてはいけないのだろう。何もしないで生きているだけではいけないのだろうか。(中略)

 この手の連続ドラマのいいところは、観ているあいだ何も考えずにいられるところだ。次々に事件が起り、陰謀がうずまき、愛が燃えあがったり冷えきったりし、人が生れたり死んだりし(有為子がいい人だなと思う人は、たいてい途中で殺されてしまう)、信頼し合ったり裏切ったりし、殴り合ったり抱き合ったり、正義感につき動かされたりお金に目がくらんだり、逃げたり追ったり許したり許されたりし、その合間にはちゃんと食事をしたり眠ったりシャワーを浴びたりもして、つまり有為子のかわりに人生を生きてくれる。だから、有為子は何もせず、ただ観ていればいいのだ。

もしかすると、自分が好きなのは大沢ではなくこの場所なのかもしれない。大沢は店の備品のようなものなのかもしれない。が、仮にそうだったとしても、絶対に必要な備品なのだから、やはり大切なのだった。

 そんなこんなで、今日はこの辺りで。また明日!🐥💓

☆☆☆あなたが笑顔で過ごせる毎日でありますように!☆☆☆